ウクライナ中銀、2025年のGDP成長率見通しを2.1%に下方修正
(ウクライナ)
調査部欧州課
2025年08月07日
ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は7月のインフレ報告(7月31日発表)で、2025年の実質GDP成長率を2.1%と予測した。前回4月のインフレ報告から1.0ポイント下方修正した。その背景として、ロシアとの戦争によるインフラや住宅、工場への被害、国民の国外流出による労働力不足、気候変動による農業生産への影響などを挙げた。
2026年、2027年のGDP成長率もそれぞれ、3.7%から2.3%、3.9%から2.8%に下方修正した。2027年には投資や消費が回復し、民間資本が経済成長の原動力となるだろうと予測する。
インフレ率は2024年3月、4月以降、加速し続けていたが、2025年5月にピーク(前年同月比15.9%)を越え、6月は14.3%と、1年3カ月ぶりに減速に転じた。依然として食品価格の高騰や、原材料や労働コストの上昇が物価圧力として働くものの、2025年末にはインフレ率が10%を切り、2026年末に6.6%、2027年末には目標の5%に収束する見込みだ。
ウクライナ国家統計局によると、2025年第1四半期(1~3月)の平均月額賃金は2万3,460フリブニャ(約8万2,110円、1フリブニャ=約3.5円)で、前年同期比24.1%増加した。NBUは、実質賃金上昇率は2025年第1四半期で前年同期比9.2%だが、2025年、2026年は通年で約5%、2027年には4%近くまで下がると予測する。労働市場でのミスマッチの緩和や、雇用主間で賃金以外の競争激化により、賃金の上昇が徐々に減速することを理由に挙げた。2025年の失業率は11.5%と予測しており、2027年末には10%以下に低下すると予測している。
NBUは外国為替市場の安定やインフレの加速の抑制のため、3月に政策金利を15.5%に引き上げて以降(2025年3月17日記事参照)、金利を維持している。NBUのベースライン予測では、インフレの持続的な減速に対する脅威がなくなるという明確な証拠がない限り、2025年第4四半期(10~12月)まで現在の政策金利を維持する見込みだ。
(柴田紗英)
(ウクライナ)
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