JCCが2025年上期景気動向調査の結果公表、業況感は弱含み、持ち直しの動きも
(タイ)
バンコク発
2025年08月15日
バンコク日本人商工会議所(JCC)が8月1日に公表した「2025年上期タイ国日系企業景気動向調査」によると、在タイ日系企業の業況感DI(注1)は、2024年上期のマイナス21から改善し、同年下期はマイナス11だった。2025年上期はマイナス7とさらに改善し、2025年下期にはマイナス2までの回復を見込む。依然としてマイナス圏ではあるものの、持ち直しを動きが見られる(注2)。
2025年上期の業況感は、輸出による好影響が見られた一方、耐久財消費の不振や、外国人旅行者の減少がマイナス要因となり、全体でマイナス7だった。業種別では、製造業が前期のマイナス16からマイナス3に改善が見られた。製造業の中でも、特に食料品が原材料価格の低下や輸出の増加などによって好調が続いている。一方、自動車の国内販売の低迷を受け、自動車関連産業を中心に業況感は低調だった。
非製造業の業況感は前期のマイナス7から、マイナス10に悪化した。特に小売りは、中国をはじめとした観光客の減少や、国内消費マインドの冷え込みなどから、悪化したほか、運輸・通信も、国内消費の低迷による輸入品物量の減少や自動車関連の売り上げ落ち込みなどから悪化した。
全体として、2025年下期の見通しは、米国関税の影響への懸念があるものの、タイ政府の政策や国内の耐久財消費の回復への期待により、マイナス幅を縮小し、改善に向かう見通しだ。
(注1)業況感DI(Diffusion Index)は、業況が「上向いた」と回答した企業の割合から、「悪化した」と回答した企業の割合を差し引いた値がプラスの場合、前期に比べて業況が改善している企業が悪化している企業よりも多いことを示している。値がマイナスの場合は、前期に比べて業況が悪化している企業の方が多いことを示している。
(注2)この調査は5月7日から6月11日にかけて実施したもので、足元のタイ・カンボジア間の国境紛争や米国トランプ関税の合意にかかる影響は加味されていない。
(野田芳美)
(タイ)
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