マニラ首都圏の最低賃金、7月から日額50ペソ引き上げ

(フィリピン)

マニラ発

2025年08月15日

フィリピン労働雇用省(DOLE)傘下のマニラ首都圏(NCR)地域賃金生産性委員会(RTWPB)は6月30日に通達を出状し、マニラ首都圏の最低賃金を日額50ペソ(約130円、1ペソ=約2.6円)引き上げることを発表した。

NCRでは7月18日から賃金通達第NCR-26号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が適用された。この法令により、非農業部門は1日当たり645ペソから695ペソに、農業部門と従業員15人以下のサービス業、小売業、従業員10人未満の製造業は608ペソから658ペソに引き上げられた。NCRでは、2023年に40ペソ、2024年に35ペソの最低賃金引き上げが実施されたので、今回の引き上げ額を合わせると2023年の引き上げ前と比較して125ペソの引き上げになる。

労働者は13カ月給与(注1)、有給休暇(SIL)、社会保障(SSS)、フィリピン健康保険(PhilHealth)、持ち家促進相互基金(Pag-IBIG)などの必須となる福利厚生を含め、月額1万5,247~1万8,216ペソを受け取ることが可能だ。

なお、NCR以外の主要地域でも、2024~2025年に最低賃金引き上げ措置がとられている(添付資料表参照)。さらなる引き上げについて、RTWPBは全国5地域で最低賃金の2025年末までに協議が進められると発表した。対象の地域には、北部・中部ルソン、中部ビサヤ地方セブ、南部タガログA(カラバルソン、注2)などが含まれる。

(注1)13カ月給与は、1年分の給与以外にさらに1カ月分の給与を法定賞与として支払うことが定められているもの。社会保障(SSS)、フィリピン健康保険(PhilHealth)、持ち家促進相互基金(Pag-IBIG)はいずれも、雇用者と従業員双方が加入し、毎月掛け金を支払うことが義務付けられている。

(注2)カラバルソン地域はマニラ首都圏の南部にある工業集積エリアで、製造業など日系企業が多く立地する地域。

(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)

(フィリピン)

ビジネス短信 d750fa55858d87f9