ラオス、国家労働基準証明書を企業に交付
(ラオス)
ビエンチャン発
2025年08月26日
ラオスのビエンチャン都労働社会福祉局は8月18日、同都内のダイヤモンドカッティング工場に対し、「国家労働基準証明書」を交付した。同証明書は、労働社会福祉省が定める5分野・24項目の基準を全て満たした企業に与えられるものだ。ジェトロが同局に確認したところ、有効期限は2年で、企業は所在地の都・県の労働社会福祉局に申請して取得できる。ラオス政府は、今回の証明書の交付を契機として、今後この証明書の制度を本格的に導入・活用していく予定だ。
国家労働基準は、2022年5月25日付「労働事業体の国家労働基準に関するガイドライン(No.1529/SO)」で定めている。内容は、ラオス労働法とILOが定める中核的労働基準の5分野に準拠しており、最低限守るべき基本的な労働権を反映している。企業がこの基準に沿うことで、行政指導や罰則の回避、国際取引での信頼性向上につながると考えられる。
国家労働基準は次の5分野・24項目で構成している。
1.労働関係規定
- 労働監督機関に届け出済みの就業規則を備えていること
- 労働者が社会保障制度に加入していること
- 使用者と労働者との間で書面による労働契約を締結していること
- 労働者代表または労働組合が選出・組織されていること
2.均等待遇・強制労働の禁止
- 性別による差別やハラスメント、暴力行為がないこと
- 労働者の人格権を侵害する行為をしないこと(特に女性に対する不当な言動・視線など)
- 児童労働や年少者、女性に対し、あらゆる違法な業務を禁止すること
- 違法な外国人労働者を雇用しないこと
- 12歳以下の児童の雇用を行わないこと
- 時間外労働・休日労働の強制を行わないこと
- 性別・国籍・人種・信条・宗教・政治的思想による差別を禁止すること
- 妊娠検査や避妊措置を雇用条件としないこと
3.労働時間・休憩・休日
- 年次有給休暇は労働法に基づいて付与すること(通常15日以上、危険有害業務従事者は18日以上)
- 産前産後休業は105日以上、双胎妊娠の場合は120日以上付与すること
- 週所定労働日数は6日以内、1日8時間以内、週48時間以内にすること
4.賃金・給与
- 労働契約に基づき、全ての賃金を期限までに支払うこと
- 法定割増率に従い、時間外労働・休日労働の割増賃金を支払うこと
- 政府が定める最低賃金以上の賃金を支払うこと
5.安全衛生管理
- 労働者が50人以下の事業場の場合、安全衛生担当者を選任すること
- 労働者が51人以上の事業場の場合、安全衛生委員会を設置すること
- 労働者に対し、保護具を無償で支給すること
- 年1回以上の健康診断を実施すること
- 基本的な救急用具(救急箱、常備薬、応急処置キット)を備えること
- 福利厚生施設(トイレ、安全な飲料水、休憩室、食堂など)を備えること
(山田健一郎)
(ラオス)
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