ムンバイで国際食品展示会、ジェトロブースで日本企業の商品紹介
(インド)
ムンバイ発
2025年08月26日
インド西部マハーラーシュトラ州ムンバイで8月20~22日、食品・飲料の国際展示会「アヌーガ・セレクト・インディア(ANUGA SELECT INDIA)2025」がボンベイ・エキシビション・センター(BEC)で開催された。食品加工や包装技術を扱う「アヌーガ・フードテック・インディア」も同時開催され、製品と技術の双方を対象とした国際的な商談の場となった。主催者によると、2024年の同展示会の来場者数は2万7,705人を記録しているが、今回は現時点で未公表だ。
開催期間中のムンバイはモンスーン期の大雨に見舞われ、各地で洪水や停電が発生した。主要道路や高速道路では深刻な渋滞が続き、会場アクセスに大きな支障が生じたが、多数の業界関係者が来場し、会場はにぎわいを見せた。
ジェトロは会場内に「Japan Street」(注)の広報ブースを設置し、日本産の食品・飲料を紹介した。来場者向けに日本企業12社の商品紹介や試食を行い、現地関係者の関心を集めた。試食品を巡っては、原材料や動物性由来成分の有無についての質問が多く寄せられた。インドでは包装食品への「ベジタリアン(緑マーク)/ノンベジタリアン(赤マーク)」表示が法令で義務付けられており、卵を含む場合もノンベジタリアンに分類される。このため、消費者やバイヤーはこれらの表示を非常に重視しており、日本企業にとってはインド市場参入に避けては通れない対応となる。こうしたやり取りからも、成分表示が商談の現場で強く意識されていることがうかがえた。
ジェトロの広報ブース(ジェトロ撮影)
一方で、日本食材の流通は依然としてホテルやレストランが中心で、一般の小売りへの浸透はまだ限定的だ。もっとも、デリーやムンバイなどの大都市では、高級スーパーでの取り扱いが徐々に増え、健康志向や多様な食文化への関心の高まりを背景に、食に対する意識も変化しつつある。消費者の食習慣が保守的なため、普及には時間を要するものの、中長期的には市場拡大の余地が大きいと期待されている。
(注)「Japan Street」は、海外バイヤーとの商談・取引機会の創出を目的に、日本の企業や商品情報を掲載するオンラインカタログサイト。ジェトロが招待したバイヤーのみが閲覧可能となっている。
(篠田正大)
(インド)
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