アルゼンチン中銀、米ドル建て決済時のコスト削減と利便性を向上する措置を導入

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年08月13日

アルゼンチン中央銀行は87日、中銀通達A8296PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)および同通達A8299PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)2つの通達を公布し、米ドルへのアクセスと利便性を向上させる新たな措置を講じた。米ドル建てで支払いを行う際のコストを削減、あるいはミレイ政権が進める通貨間の競争を促進することを狙いとしている。

まず、中銀通達A8296は、輸出予定の製品を製造するための資金を国内の金融機関を通じて国外から借り入れた際の返済時の為替コスト削減を意図している。平均償還期間が3年以上で1年間の元本返済猶予がある、または平均償還期間が2年以上で18カ月の元本返済猶予がある資金を条件に、融資を受けて実行した輸出によって得た外貨について、7カ月分の元本と金利の合計額の125%相当額を外貨のまま国内外の銀行口座に保証金として保有し、それを返済資金に充てることを認めた。輸出で入ってくる代金は全額をペソに両替する義務があるが、今回の措置により、ペソに両替した外貨を再び外貨に両替する必要がなくなるため、輸出前金融を国外から受ける事業者には余計なコストを削減できるメリットがある。

次に、中銀通達A8299は、個人、法人によるドル建て当座預金の開設とドル建て電子小切手(ECHEQ)の発行を認めた。ただし、金融機関のシステム対応が必要なため、そのための猶予期間を2025121日までとしている。中銀は、米ドル建て小切手は紙ではなく電子形式のみとすることでコストの削減につながるとしている。また、この措置はコスト削減だけでなく、ミレイ政権による通貨間の競争促進政策、すなわち人々がどの通貨を使用するかを自由に選択できるようにすることで、より安定した米ドルへの移行を自然発生的に進める政策の一環としている。中銀はまた、これまでに承認済みのドル建てデビットカードでの支払いを可能にする措置など、国内での米ドル建て決済の運用を同時に開始するとしている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 ccc57322f827cb89