インド自動車メーカー、南アで果敢に攻める
(南アフリカ共和国、インド)
ヨハネスブルク発
2025年08月26日
インド自動車メーカーのタタ・モーターズは8月15日、子会社タタ・モーターズ・パッセンジャー・ビークルズ(TMPV)を通じて、南アフリカ共和国市場に再び参入すると発表した。タタ・モーターズは1997年から商用車の販売やアフターサービスを展開しているが、今回は乗用車、特にアフリカ市場に適合したコンパクトハッチバック、クロスオーバー、スポーツ用多目的車(SUV)を展開する予定だ。また、南ア全土で自動車ショールームなどを展開しているモータス・ホールディングスが乗用車の独占販売代理店となる。
タタ・モーターズの南ア再参入で、比較的手頃な価格帯のさらなる激しい競争が予想される。南ア自動車ビジネス協議会(NAAMSA)によると、2024年の乗用車販売台数は前年の34万7,372台から1.2%増の35万1,555台に増加した。こうした中で、NAAMSAは「南ア国内の新車市場では、消費者の嗜好(しこう)に顕著な変化が見られる。中国ブランドを含む新規参入企業が比較的安価な価格帯の車を提供することで、業界内に新たなトレンドが生まれている。南アの消費者はかつてブランド志向が非常に強かったものの、生活費の高騰に伴い、多くの消費者がブランドよりも価格に重点を置くようになっている。」と分析している。また、TMPVの国際事業部門責任者ヤシュ・カンデルワル氏は「南アは当社のグローバル展開で重要な市場だ。業界をリードする当社の製品と信頼できるパートナーのモータスとともに、さまざまな乗用車を提供する。」と述べている。
一方、タタ・モーターズのライバルで、インド自動車メーカーのマヒンドラ&マヒンドラは8月12日、クワズール・ナタール州のドゥベ・トレードポート特別経済区(SEZ)で、7,000万ランド(約5億8,800万円、1ランド=約8.4円)を投資し、ダーバン組立工場を新設した。新工場はマヒンドラの2018年に建てられた組立工場に隣接する場所に位置する。ダーバン工場は、組み立てのピックアップトラックへの需要が継続的に増加する中、月間1,000台を超えるピックアップを組み立てる能力を有し、需要の拡大に伴ってさらに生産能力を拡大する可能性があるとしている。マヒンドラ&マヒンドラの国際事業部門責任者サチン・アロルカル氏は「南アは、マヒンドラの国際成長戦略の基幹市場だ。今回の投資はアフリカへの長期的な投資と、南アをグローバル事業の中核拠点とするという当社のコミットメントを明確に示すものだ」と述べている。
このように、インド自動車メーカーは南ア市場で果敢に攻めているかたちだ。
(トラスト・ムブトゥンガイ)
(南アフリカ共和国、インド)
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