プラボウォ大統領、就任後初の年次施政方針演説で汚職撲滅と国民の繁栄を強調

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年08月20日

インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は8月15日、国民協議会の年次会合と国会両院の合同会議で、就任後初となる年次施政方針演説を行い、自身の施策成果と今後の方針を国民に示した(8月15日付インドネシア国家官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

演説冒頭でプラボウォ大統領は、汚職のまん延に強い危機感を示し、汚職・不正撲滅を最優先課題に据える姿勢を明らかにした。大統領は「政権を率いて299日、われわれが直面する課題の大きさと、政府内部にまん延する不正の深刻さを痛感した」と述べ、過大な出張費や備品費などで300兆ルピア(約2兆7,300億円、1ルピア=約0.009円)に上る国家予算の流用を洗い出して食い止めた成果を報告した。

また、国民福祉向上を目的とした政策の、学童や妊産婦らに無償の栄養食を配布する無料栄養食(MBG)プログラムについて、恩恵を受けた対象者が約2,000万人に達したと報告した。その上で、健康で聡明(そうめい)な次世代を育成することが「最高の投資」だと強調した。食料安全保障の分野では、コメの国家備蓄が過去最高の400万トン超に達し、数十年ぶりにコメとトウモロコシの輸出が可能になったと発表した。

さらに、大統領は経済分野の不公正な利益追求を批判し、「貪欲経済(インドネシア語でセラカノミクス)」と称する行為に断固対処する姿勢を示した。その一環として、大規模精米業者に政府の特別許可取得を義務付けるとしたほか、「自分が大企業や富豪だからといって、勝手気ままに振る舞えるとは思わないでほしい。われわれはあなた方の巨大さも富も恐れはしない。それらの富は国民から得たものだからだ」として、富裕層に毅然とした警告を発した。

演説の結びでは、プラボウォ大統領は独立の理想を実現する上で国民の団結が不可欠だとあらためて強調した。さらに、1945年の独立から80周年の記念式典のテーマとして「団結、主権、国民の繁栄」を掲げ、「国民が豊かにならないようでは、独立国家として失格だ」と述べ、国民生活の安定向上に全力を尽くす決意を示した。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

ビジネス短信 ba3c597a09a735d2