中国中部地域で初となる中欧班列のゼロカーボンの貨物列車運行
(中国、ドイツ)
武漢発
2025年08月21日
中国湖北省の国有国際物流企業の湖北省港口集団の子会社、武漢漢欧国際物流は8月13日、武漢市からの中欧班列として初のゼロカーボングリーン貨物列車が中鉄聯集(注1)武漢中心駅を出発したと発表した。これは中部地域初のゼロカーボングリーン貨物列車でもある。
この貨物列車は自動車部品や日用品などを積み、新疆ウイグル自治区アラシャンコウ(阿拉山口)市から国境を越え、ドイツ北部のハンブルクとデュイスブルクに至る。同列車の運行は、武漢漢欧国際物流とドイツ鉄道(DV)貨物部門のDBカーゴの子会社(DBカーゴユーラシア)との共同プロジェクトで、ゼロカーボングリーン貨物列車と通常の運行列車の特性を融合することで、「ダブルカーボン」目標(注2)の実現を促進するという。
ゼロカーボングリーン貨物列車の特徴は、電化区間では100%グリーン電力を使用し、非電化区間での燃料消費分は世界自然保護基金(WWF)設立のゴールドスタンダードが認証したカーボン・オフセット・プロジェクト(風力発電や廃棄物処理など)で得たクレジットを活用して、二酸化炭素(CO2)排出量を相殺することとされる。こうして列車は運行中のCO2排出ゼロを達成する。鉄道輸送のCO2排出量は道路輸送の5分の1にすぎない。ゼロカーボングリーン貨物列車は、輸送チェーン全体でカーボンニュートラルを実現し、物流で環境への負荷を大幅に削減する。
EUの炭素関税やその他の環境規制の強化を受けて提供するゼロカーボングリーン貨物列車のサービスは、サプライチェーンでのリスク(CO2排出コストなど)回避に有効だ。ゼロカーボングリーン貨物列車を利用する顧客は、DBカーゴが発行するグリーン貨物証明書を取得することができる。顧客はEU企業の年次財務報告書で同証明書をもって環境への配慮実績として申告が可能だ。また、各国のカーボンクレジット制度に基づく税制優遇措置を享受することができる。
(注1)中鉄聯集は、中国各地の鉄道コンテナ施設の建設・運営を担う中外合弁企業。
(注2)カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの実現の2つの目標を指す。習近平国家主席は2020年9月22日、中国が2030年までにカーボンピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを目指すと宣言した。
(高橋大輔)
(中国、ドイツ)
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