インドネシアとペルー、包括的経済連携協定(CEPA)に署名

(インドネシア、ペルー)

ジャカルタ発

2025年08月15日

インドネシア政府とペルー政府は8月11日、ジャカルタの大統領宮殿で両国間の包括的経済連携協定(CEPA)に正式署名した。署名はインドネシアのブディ・サントソ商業相とペルーのウルスラ・デシル・レオン・チェンペン対外貿易・観光相が行い、プラボウォ・スビアント大統領とディナ・ボルアルテ大統領も立ち会った(8月12日付インドネシア商業省プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

インドネシアにとって中南米諸国とのCEPAは、2019年に発効したチリとの協定に次いで2件目になる。インドネシアとペルーは1975年に国交を樹立しており、署名式は国交樹立50周年の節目に合わせて行われた。プラボウォ大統領は共同記者会見で、交渉開始から14カ月間という異例の早さで合意に至ったことを強調した(8月11日付インドネシア国家官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

今回署名したインドネシア・ペルーCEPA(IPCEPA)は、物品の貿易自由化(関税撤廃・削減)を中心に据え、原産地規則、税関手続き・貿易円滑化、経済協力、衛生植物検疫(SPS)や貿易の技術的障害(TBT)への対応、法制度面の整備など、広範な分野をカバーする包括協定だ。第1段階として物品貿易の自由化で合意し、将来的にはサービス、投資、電子商取引など他分野での協定拡大の基盤になると位置付けている。協定によってインドネシアは、ペルー側の関税品目の約90%(7,257品目)がインドネシア産品に対して無税になるなど、関税面で大幅な優遇を獲得したとされている(「アンタラ」8月12日)。これにより、インドネシアの主力輸出品の自動車(部品を含む)や二輪車、履物、パーム油製品などのペルーへの輸出増加が期待される。インドネシア商業省のジャトミコ・ブリス・ウィチャクソノ国際貿易交渉総局長は、CEPA発効によって対ペルー輸出額は最大50億ドルに達する可能性があるとした。

一方、ペルーにとっても、この協定は東南アジア市場へのアクセス拡大に資するものとなる。ボルアルテ大統領は、ペルーが世界有数の果実や穀物の輸出国であることに触れ、CEPA締結によって今後、ブルーベリー、ザクロ、キヌア、チアシードなどのペルー産品のインドネシア市場への輸出が容易になると強調した。さらに、両国は今回の協定締結を契機に、農業、食料安全保障、エネルギー転換、漁業、防衛分野など幅広い分野で協力関係を強化する方針を示している(「アンタラ」8月12日)。

今後、両国政府はそれぞれ国内で批准手続きを進め、協定の早期発効を目指す見通しだ。インドネシアでは協定発効には国会での承認が必要となる。ブディ商業相は「2026年8月までに国内批准を完了させ、同年中のIP-CEPA発効を目指す」との見通しを示した(「カタダタ」8月11日)。

(八木沼洋文)

(インドネシア、ペルー)

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