第2四半期のGDP成長率は前年同期比5.12%、輸出や投資が伸びを牽引

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年08月18日

インドネシア中央統計庁(BPS)は8月5日、2025年第2四半期(4~6月)のGDP成長率を前年同期比5.12%と発表した(添付資料図参照)。前期の4.87%から上昇し、2四半期ぶりに5%を上回った。

支出項目別では、GDPの5割超を占める家計最終消費支出が前年同期比4.97%増加し、前期の4.95%からわずかに上昇した。6月の学校の長期休暇のほか、メッカ巡礼終了後の祝祭「イドゥル・アドハ(犠牲祭)」などの大型宗教行事による経済活動と、社会流動性の高まりが寄与した。政府支出は2024年の選挙関連支出の反動で0.33%減少し、マイナス成長となった。総固定資本形成は投資の増加により、前期の2.12%から6.99%へと拡大した。輸出(10.67%)と輸入(11.65%)はともに2桁の伸びを記録し、サービス輸出は外国人観光客の増加に支えられた〔8月5日インドネシア中央銀行(BI)プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

業種別では、主要17業種の全てが前年同期比でプラスだった。成長率の高い業種は、その他サービス(11.31%)、企業サービス(9.31%)、運輸・倉庫(8.52%)の順だった。前期に2桁増だった農林水産は1.65%に鈍化したが、コメの収穫期が終了したことなどが要因とされている(「コンパス」8月6日)。製造業は5.68%増で、GDP寄与度は1.13%と、経済成長の最大の牽引役となった。

地域別では、全6地域のうちスラウェシ地域が前年同期比5.83%と、成長率が最も高かった。GDPの6割弱を占めるジャワ地域が5.24%で、製造業、卸売・小売業、情報・通信業が成長を下支えした(「リプタン6」8月5日)。ジャカルタ首都特別州の成長率は5.18%で、全体平均を上回った。

一方、有識者からは、BPS発表値に疑問の声が上がった。インドネシア経済法律研究センター(CELIOS)のデジタル経済ダイレクターのナイルル・フダ氏は、第2四半期の成長率が第1四半期(1~3月)を上回った点について、「過去の統計では、ラマダン(断食月)を含む時期(2025年は第1四半期)に成長率のピークが来るのが通例で、今回の結果は歴史的傾向から見ても極めて異例だ」と指摘した(「テンポ」8月7日)。さらに、製造業PMI(購買担当者景気指数指標)、家計消費、消費者信頼感指数など他の主要指標との不整合を理由に、BPS発表値の信頼性に疑問を示した(アンタラ「8月5日」)。経済金融開発研究所(INDEF)のシニアエコノミスト、モハマド・ファディル・ハサン氏は「製造需要の減少、PMIの低迷、家計消費の鈍化、外国直接投資(FDI)の減少など、実態指標が弱化している一方で、成長率が高いのは矛盾している」と述べ、データの透明性と説明責任を求めた(「ビスニス」8月6日)。

これに対し、アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は「データ操作は一切ない」と否定し、小売り販売額や電子マネー取引、オンライン取引の堅調さを根拠に成長を裏付けているとの見解を示した(「アンタラ」8月5日)。

(八木沼洋文、デシー・トリスナワティ)

(インドネシア)

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