万博ナショナルデーに合わせ、中央アフリカ共和国が大阪でビジネスフォーラムを開催

(日本、中央アフリカ共和国)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年08月06日

中央アフリカ共和国(CAR)政府は81日、大阪・関西万博でのナショナルデーに合わせて、万博会場内で「CAR日本ビジネスフォーラム」を開催した。

ティエリー・パトリック・アコロザ貿易産業相はあいさつで、中央アフリカ共和国はアフリカの中央部に位置し、推定人口は570万人だと説明した。主要産業は鉱業と農業で、鉱業についてはダイヤモンド、金、ウラン、リチウムなどを産出する470以上の鉱山があり、今なお地質調査が続けられているという。農業においては、肥沃(ひよく)な土地のみならず気候条件も良く、さらに若者や女性による安価な労働力もある点が強みであると語った。2024年に策定した「20242028年の国家開発計画」の概要について、a.安全保障の強化と法による支配の推進、b.人的資本の発展と、保健、栄養、教育、水、衛生などの基礎的社会サービスへの平等なアクセスの確立、c.エネルギー、輸送、通信分野における持続可能で強靭(きょうじん)なインフラの構築、d.生産部門におけるバリューチェーン開発と生産プロセスの改善、e.環境持続可能性の確保と気候変動に対する影響・危機への対応力向上の5つの柱を掲げているとし、本計画の総事業費は70億ドルに上るため、その実現のために今回の大阪でのイベントを通じて投資家を募ると述べた。

写真 質疑応答に答えるアコロザ貿易産業相(ジェトロ撮影)

質疑応答に答えるアコロザ貿易産業相(ジェトロ撮影)

アラン・ドゥアテ・コヤンゴゾ産業貿易省ゼネラルコミッショナーは、投資有望先の分野として次の点を挙げた。

  • 農業:耕作可能面積1,500万平方メートルのうち耕作面積はわずか1%にすぎず成長の余地が大きい。コーヒー、綿花、ゴム、ココア、パーム油、トウモロコシ、ゴマ、ピーナッツ、バナナなどを収穫可能
  • 畜産業:1,600万ヘクタールの牧草地で牛250万頭を飼育、さらに拡大可能
  • 鉱業:金、ダイヤモンドなどの鉱物資源があり、地質学的にも高い潜在力がある。また、北部、中部、西部、北東部、南東部の5地域に探査掘削中の油田が所在
  • 観光:ユネスコ生物圏保護区を含む5カ所の国立公園があり、エコツーリズムの発展が可能

このほか、中央アフリカ共和国に勤務・居住経験のある日本人2人から体験談の披露があった。現地で活動する写真家の青木弘氏は、2017年から現地で活動し、自然の美しさと人々の生き様に刺激を受けた、と語った。現地での平和構築に向け、人々に栄養価の高い食品を安定供給し、同時に雇用を創出するため、養鶏場を設立・運営していると述べた。国連児童基金(UNICEF)中央アフリカ共和国事務所で5年間、子供の保護専門官として勤務経験のある小川亮子氏は、中央アフリカ共和国の最大の魅力は人であると強調した。あいさつをはじめ、食事を一緒にとったりしながら、喜びも悲しみも分かち合える人間的な温かさ、他者への愛を同国から学んだ、と語った。

写真 日本人2人による体験談の披露(ジェトロ撮影)

日本人2人による体験談の披露(ジェトロ撮影)

(齋藤寛)

(日本、中央アフリカ共和国)

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