ジェトロと山東省が協力覚書更新へ、600人が交流、2025対話山東

(中国)

青島発

2025年08月08日

ジェトロは7月29日、大阪で山東省政府や中国国際貿易促進委員会(CCPIT)と共催し、「2025対話山東―日本・山東産業協力交流会および大阪・関西万博山東ウィーク」の開幕式を開催した。2020年から続くこの交流会は今回で6回目を迎え、大阪・関西万博の中国パビリオンにおける山東ウィーク(会期は7月31日まで)の開幕式も兼ねて実施された。日中の関係者600人以上が参加した。

主催者あいさつでジェトロの高島大浩理事は、ジェトロと山東省政府が2009年に締結した協力覚書について、4回目の更新に向け準備中であり、引き続き同省のビジネス環境の改善に向け協力すると表明した。山東省政府の陳平副省長は、同省としてヘルスケア、環境・省エネのほか、今後はデジタル、サービス、グリーンの各分野の発展を推進する方向であり、日本企業と同分野での協力を強化したいと述べた。日本の駐青島総領事や中国の駐大阪総領事、友好都市提携のある山口県や和歌山県、関西経済連合会などの後援団体、2025日本国際博覧会協会の代表者も出席し、日中間の経済協力の重要性を確認した。

特に注目されたのは、山東省の「一城一産」政策に基づく主要都市別の産業プロモーションだ。青島市、濰坊市、済寧市、威海市、日照市、濱州市、臨沂市、菏沢市の副市長らが各都市の産業特色と投資環境を紹介した。青島市の陳万勝副秘書長は海洋経済とハイテク産業、濰坊市の呂珊珊副市長は農業機械と化学工業、済寧市の宮暁芳副市長は新エネルギーと生物医薬など、各都市の強みを活かした産業集積を積極的にアピールした。

日本企業によるプレゼンテーションでは、伊藤忠(青島)の能勢稔彦総経理、医療法人原会の原和隆副理事長、新日清製粉食品(青島)の今西昭彦総経理、済南軽騎鈴木(中国)の鈴木浩総経理が登壇した。既に山東省に進出している日本企業の成功事例を通じて、同省でのビジネス展開の可能性を具体的に示した。

日中協力検討では、三菱UFJ銀行(中国)青島支店の野田大輔支店長が中国の産業動向などを紹介したほか、山東省発展改革委員会の劉勇副主任らが、日本企業との協力拡大に向けた政策支援や投資環境の整備状況を説明した。特に医療・ヘルスケア分野での日本企業との技術協力や、カーボンニュートラル実現に向けた環境技術の導入に強い関心を示した。

今回の交流会は、ポストコロナ時代における日中経済協力の新たな段階を象徴する重要なイベントとなった。

写真 主催者あいさつをするジェトロの高島理事(ジェトロ撮影)

主催者あいさつをするジェトロの高島理事(ジェトロ撮影)

写真 対話山東会場の様子(ジェトロ撮影)

対話山東会場の様子(ジェトロ撮影)

(皆川幸夫)

(中国)

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