ペルー政府、コロンビア大統領選で国境が争点化することを警戒

(ペルー、コロンビア)

リマ発

2025年08月18日

ペルーのディナ・ボルアルテ大統領は8月15日、コロンビアとの国境に接するロレート県サンタ・ロサ地区で式典を開催し、「サンタ・ロサ地区がペルーの領土であることは言うまでもない。1922年に締結されたサロモン・ロサノ条約と1934年に署名されたリオデジャネイロ議定書でペルーとコロンビアの国境は確定しており、国境が動くことはない。何人であっても国境に疑問を投げかけるような行為は許されない」と述べた。式典にはエドゥアルド・アラナ首相のほか関係閣僚、議会や軍の関係者も参加し、ボルアルテ大統領とホセ・ヘリ国会議長が国旗掲揚を行った。

式典を開催した背景には、2026年に実施されるコロンビア大統領選挙への立候補に意欲を示すダニエル・キンテロ元メデジン市長が、サンタ・ロサ地区でコロンビアの国旗を掲げる様子を録画しSNSで発信したことがある。コロンビアの有権者にアピールする目的とみられる動画が、2国間の深刻な問題に発展することを避けたいペルー政府が対策を打ったかたちだ。

ペルーの産業界は、ペルー政府への支持を明確にした上で、両国関係の強化を期待している。ペルー輸出業組合(ADEX)、ペルー工業協会(SNI)、リマ商工会議所(CCL)、全国観光業会議所(Canatur)、全国商工観光サービス会議所(Peru Camaras)などの業界団体は、8月8日に連名で「国際条約を順守するペルー政府の方針を支持する。ペルーと兄弟国であるコロンビアとの関係が平和で友好的に、相互協力のもと、一層強化されることを期待する」との共同声明を発表した。両国はともにアンデス共同体と太平洋同盟に加盟しており、貿易自由化が進んでいる。

(石田達也)

(ペルー、コロンビア)

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