6月のインフレ率は前年同月比3.2%と低水準で推移
(パキスタン)
カラチ発
2025年08月01日
パキスタン計画・開発省の統計局(PBS)は7月2日、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)を前年同月比3.2%と発表した(添付資料図参照)。前月の3.5%から微減し、2024年6月の12.6%からは9.4ポイント低下した。2025年に入り、とりわけインフレ率は低水準で推移しており、直近半年の推移をみると、2025年1月に2.4%、2月1.5%、3月0.7%、4月0.3%、5月3.5%、そして6月3.2%と落ち着きを見せている。
品目別にみると、生鮮食品(マイナス10.6%)、水道・光熱エネルギー(マイナス3.3%)、通信(0.5%)、交通(0.6%)など、日々の生活に直結した品目のインフレ率低下が目立った。一方、衣類・靴(9.0%)、教育(10.1%)、レストラン・ホテル(8.4%)、健康関連(12.2%)などが全体値を押し上げており、この傾向は2025年に入ってから続いている(2025年4月30日記事参照)。PBSの報告によると、食品とエネルギーを除くいわゆるコアインフレ率については、前年同月比6.9%で2024年6月の12.2%に比べて低下している。
パキスタン中央銀行(SBP)の金融政策委員会は、エネルギー価格が2024年に比べて世界的に低水準を維持している一方で、食品価格やコアインフレ率が持続的に上昇することを加味して、インフレ率は目標範囲内の5~7%で落ち着くだろうと見立てている。ただし、中東などの地域紛争に起因したサプライチェーンの混乱、これに伴う原油価格やその他の商品価格の変動など、複数のリスクは拭えないとして、一貫して慎重な姿勢を取っている。
(糸長真知)
(パキスタン)
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