グラブがウィーライドに出資、東南アジアで自動運転車両の大規模展開を目指す
(中国、シンガポール)
広州発
2025年08月27日
中国の自動運転技術のスタートアップ企業ウィーライド(WeRide、本社:広州市)は8月15日、東南アジアの配車アプリ大手グラブ(Grab、本社:シンガポール)から戦略的株式投資を受けると発表した。この提携は2025年3月に締結した覚書(MoU)に基づくもので、ウィーライドによると、投資額は数千万ドル規模で、完了は遅くとも2026年上半期までの見込みだ。
両社は自動運転レベル4(注)のロボタクシー(Robotaxi)を東南アジア地域で大規模に展開することを目指し、技術や運用、サービス、安全面の協力体制を構築する。具体的には、配車・ルートの効率化や、車両稼働時間の最大化、安全性能の測定・評価、リモートによる監視とサポート、顧客サポート、研修やスキルアップなどで、ウィーライドの自動運転技術とグラブの車両管理とルート設定システムを統合し、運用効率とサービスの品質向上を図る。
ウィーライドの創業者兼最高経営責任者(CEO)の韓旭氏は「東南アジア市場では、現地の規制と社会的受容度に合わせて、段階的に数千台のロボタクシーを展開する」と述べた。
同社は自動運転技術のグローバル展開を進めており、7月17日にはシンガポール南部沖のセントーサ島の施設「リゾート・ワールド・セントーサ」で、自動運転ミニバス「ロボバス(Robobus)」の運行サービスを開始した。同社によると、東南アジアで初めて車内に安全員を配置しない自動運転車両となったという。シンガポールでは、運転手不足によるタクシー運賃の高騰が課題になっており、ロボバスなどの自動運転技術による解決が期待される。
ウィーライドはASEAN以外の地域にも進出を進めており、7月28日にはサウジアラビアで初の自動運転ライセンスを取得した。これにより、同社が自動運転ライセンスを取得した国・地域は、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポール、フランス、米国に加えて合計6カ国となった。欧州市場では、スイスやスペイン、フランスなどでプロジェクトを進行しており、今後もさらなるグローバル展開が見込まれる(2025年1月23日記事参照)。
(注)中国工業情報化部による「汽車駕駛自動化分級(自動車運転自動化分類)」の国家標準で、自動運転レベルの1つ。レベルゼロからレベル5まで6段階あり、レベル4は高度自動運転と定義されている。
(西村京子)
(中国、シンガポール)
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