タタ・モーターズ、イタリアのイベコを買収へ、商用車分野で世界展開強化

(インド)

ムンバイ発

2025年08月08日

インドの自動車大手タタ・モーターズは7月30日、イタリアの商用車メーカー、イベコ・グループ(Iveco Group N.V.)の全普通株式を対象に買収を行うと発表した(タタ・モーターズプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。買収総額は約38億ユーロに上る。買収は同社子会社を通じて実施され、現金による公開買い付け方式(TOB)となる。取引の完了は、2026年上半期が予定されている。

本買い付けの完了は、イベコの防衛事業の分離を条件としており、当該事業を除いたイベコグループの発行済み株式が対象となる。同事業については、2026年3月末までの売却または分社化が条件とされる。買収価格は1株当たり14.1ユーロで、これに加え、防衛事業売却に伴う特別配当として1株当たり5.5~6.0ユーロの分配が想定されている。

両社の商用車事業は製品・地域的に補完関係にあり、統合後は年間販売台数54万台超、売上高220億ユーロ規模の世界的グループが誕生する。売り上げ構成は欧州約50%、インド約35%、米州約15%となる見込みで、アジアやアフリカなど新興国展開の加速も見込まれる。

イベコ本社(トリノ)やブランドは維持され、買収後2年間は工場閉鎖や人員削減を行わないことが合意されている。ESG(環境・社会・ガバナンス)方針の継続や従業員の待遇維持など、非財務面の配慮も明記された。イベコ取締役会は全会一致で買収に合意し、筆頭株主のオランダ持ち株会社エクソールも約27%の株式をタタ・モーターズに譲渡することで合意した。買収完了後はイベコ株の上場廃止が予定されており、完全子会社化が図られる見通しだ。

タタは2024年3月に商用車部門の分離(スピンオフ)を発表しており、今回の買収はその戦略の一環とみられる。インドの自動車企業による欧州製造業の買収としては、タタによる2008年の英国自動車メーカーのジャガー・ランドローバー(JLR)に続く大型案件であり、グローバル市場におけるプレゼンス拡大を図る動きと位置づけられる。両社の電動商用車や次世代パワートレイン開発における連携にも注目が集まる。

(篠田正大)

(インド)

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