特別消費税法を改正、酒類やたばこなど嗜好品中心に課税強化
(ベトナム)
ハノイ発
2025年08月12日
ベトナム国会は6月14日、特別消費税法の改正を可決した。改正法は2026年1月1日から施行される。特別消費税は、たばこや酒類などの嗜好(しこう)品、24席未満の自動車などの物品、マッサージやカジノなどのサービスに対して課される。
今回の改正により、酒類やたばこへの課税は2027年以降、段階的に引き上げられることになった。現行法では、アルコール度数20%以上の商品とビールの税率は65%、度数20度未満の商品の税率は35%だったが、2027年からそれぞれ毎年5%引き上げ、2031年以降はそれぞれ90%と60%になる(添付資料表参照)。たばこは、これまでの75%の固定税率に加え、新たに従量税を導入し、2027~2031年に毎年税額を引き上げる。
100ミリリットル当たり5グラム以上の砂糖を含むソフトドリンク(牛乳などの乳製品、天然の野菜や果汁を原料とするジュースなどは除く)は、2027年1月から新たに課税対象となる。
自動車は、バンやピックアップトラックのように貨物と旅客の輸送に兼用されるガソリン車の税率を2027~2029年に現行の15~25%から段階的に引き上げることとなった。
一方、エアコンは従来、9万BTU(注)以下の製品に10%の税を課していたが、2026年から2万4,000BTU未満の家庭用製品などは課税対象外となる。
政府は国民の健康増進を目的に、特に嗜好品の税制改革を中心とした法改正を推し進めた。世界保健機関(WHO)ベトナム代表のアンジェラ・プラット氏は「砂糖を含む飲料や、たばこ、アルコールに対する税制改革は人々の健康に多くの利益をもたらし、労働効率を向上させ、疾病による負担も軽減する」と高く評価した(「キンテードーティ」紙6月16日)。
しかし、特に飲料業界では、税率引き上げに伴う製品価格の値上げが避けられないため、草案段階から企業活動に及ぼす影響に強い懸念を示してきた。近年増加してきた日本の酒類輸出なども減速する恐れがある。
(注)British thermal unit(英国熱量単位)の略で、1ワット(W)=3.4BTU時に換算される。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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