第11回ハノイ部品調達展示商談会を開催、裾野産業発展の期待高まる

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2025年08月20日

ジェトロとベトナム貿易振興庁(VIETRADE)は8月6日から8日にかけて、「第11回ハノイ部品調達展示商談会」をハノイ市内で開催した(注)。このイベントは、調達先を探す進出日系企業と、地場の裾野産業間の取引拡大を目的に、製造業向け展示会「ベトナム・マニュファクチャリング・エキスポ(VME)2025」に併催するかたちで実施した。VMEへの来場者数は3日間の会期で延べ7,927人に上った(主催者速報値)。

開会式でジェトロ・ハノイ事務所の小篠春彦所長は「(積み替え品に対して高関税を課す)米国の関税政策により、現地調達を通じてベトナムでの付加価値を高める重要性が増している」と述べ、現地調達推進の意義を強調した。VIETRADEのブー・バー・フー長官は「このイベントは、ベトナム企業が市場ニーズを理解し、経営能力を高め、グローバルサプライチェーンに参画するための貴重な機会となる」と述べ、裾野産業発展の加速に期待を寄せた。

今回の展示商談会には、ベトナムで部品などの現地調達を希望する日系企業20社、日系企業に部品などの供給を希望するベトナム企業20社の計40社が出展した。会期3日間の商談件数は日系企業1,382件、ベトナム企業1,477件だった。出展した日系企業からは、「来訪企業には、ここ数年で新たに立ち上がった企業もあり、今回の展示会を通じて新たな調達候補先を発掘できた」など、商談機会を評価する意見が聞かれた。ベトナム企業からの調達については、「ベトナムの裾野産業企業は特定分野に集中しており、希少性の高い加工技術は海外に依存しており、代替となる調達先が見つけにくい」との指摘も聞かれた。

VMEの会場には中国や台湾、韓国、シンガポール系の企業の出展も多くみられた。米国の関税政策で世界経済の先行きが不透明な中、中国からベトナムへの生産移管や中国国内の経済減速などを受けて、ベトナムでの販売強化が進んでいる可能性がある。

なお、ジェトロでは同展示商談会に合わせ、日系企業への部品供給元となり得るベトナム北・中部の地場企業約250社を掲載した「ベトナム優良企業 北・中部ベトナム編PDFファイル(21.6MB)」を更新した。

写真 会場の様子(ともにジェトロ撮影)

会場の様子(ともにジェトロ撮影)

(注)日系企業の現地調達率向上とベトナムの裾野産業育成を目的に、2003年の日本、ベトナム両政府の合意に基づき、ハノイ市と南部ホーチミン市で交互に部品調達展示商談会を毎年開催している。過去の商談会事業やジェトロのベトナム裾野産業育成の取り組みは、ベトナム裾野産業「優良企業」に掲載している。

(河野尭広、萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

ビジネス短信 9df117e5f7e391b9