米小売り大手の第2四半期決算、関税引き上げに節約志向根強く、ディスカウント店は好調
(米国)
ニューヨーク発
2025年08月25日
米国小売り大手のターゲットは8月20日、2025年第2四半期(5~7月期)の決算を発表した。純売上高が前年同期比0.9%減の252億1,100万ドルと、3四半期連続で減少し、営業利益は同19.4%減の13億1,700万ドルと報告した。2025年通期(2025年2月~2026年1月)の売上高見通しでは、2024年比1桁台前半の減少になるとの予想を維持した。
ターゲットの年間売上高は2022年から下降し続けている。その理由として、同社の取扱商品の半分以上が裁量的商品である一方、消費者が食品や日用品などの生活必需品に支出を増やしたことが挙げられる。また、トランプ政権の関税引き上げが販売商品の約半分を輸入に頼っているターゲットの課題をさらに複雑化したほか、同社が多様性、公平性、包摂性(DEI)に関する主要なイニシアチブを撤回したことが消費者の強い批判を招くなど、複数の要因が業績不振につながっていた。
業績の改善を見通せない中、ブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は2026年2月1日付で現職を辞任し、取締役会執行会長役に移行する。後任には、ターゲットに20年間在籍し、現最高執行責任者(COO)を務めるマイケル・フィデルケ氏が就任する。
他方、米国小売り大手ウォルマートが8月21日に発表した第2四半期(5~7月期)の決算では、純売上高が前年同期比4.8%増の1,757億5,000万ドルとなり、通期の売上高見通しを前年比3.0%~4.0%増から、3.75~4.75%増に上方修正した。同社によると、第2四半期は食料品の割引を前年比で30%拡大し、全体で7,400点以上の商品でセールを実施したことが売上増に貢献した。一方、営業利益は8.2%減の72億8,600万ドルとなった。同社は、保険金請求に関連する費用の増加が赤字の主な要因と指摘したが、今後は数四半期でこれらの費用が緩和される見込みと説明した。
ウォルマートのCEOを務めるダグ・マクミロン氏によると、同社では関税の影響による広範な消費抑制は見られないと述べたが、低中間層の世帯は、特に価格が上昇した商品カテゴリーでより安価な代替品に切り替えていると付け加えた。同社では、関税の影響で商品価格は毎週上昇しており、この傾向は2025年末まで続くと見込んでいる。
そのほか、米国ホームセンターチェーン大手のホーム・デポが8月19日に発表した第2四半期(5~7月期)の決算では、米国の既存店売上高が前年同期比1.4%増加し、3四半期連続の成長を記録したものの、売上高と利益はいずれも市場予想を下回った。同社は、顧客が小規模な住宅リフォームへの支出を継続すると見込み、通期見通しは従来の予想を維持した(ロイター8月19日)。一方、大手ディスカウントチェーンのTJXカンパニーズが8月20日に発表した第2四半期(5~7月期)の決算では、純売上高が前年比6.9%増の144億100万ドルと、市場予想を上回った。好調な需要を背景に、通期の既存店売上高見通しを従来の前年比2~3%増から3%増に引き上げた。
今回の決算では、関税による値上げへの不確実性が高まる中、家計に敏感な消費者がディスカウント店に流れている傾向を示しており、今後の先行きに注目が集まる。
(樫葉さくら)
(米国)
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