日韓首脳会談、日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことで一致
(韓国、日本)
調査部中国北アジア課
2025年08月25日
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は8月23日、東京都内で開催された日韓首脳会談で、「両国は社会、文化、環境などの多様な分野で、相互に有益で共助し合える最適なパートナー関係にある」と強調した。また、「1965年の韓日国交正常化以降、韓国の大統領が就任後、最初の2国間訪問先が日本となることは今回が初めてだ」とした。なお、両国は共同プレスリリースを発表しており、日本語版は外務省の公式HPに掲載されている。
両国首脳は同日の首脳会談で、(1)首脳間の交流と戦略認識の共有の強化、(2)未来産業分野の協力拡大と共通の課題への対応、(3)人的交流の拡大、(4)朝鮮半島の平和と北朝鮮問題での協力、(5)域内およびグローバル協力の強化について協議した。
具体的には、水素や人工知能(AI)などの未来産業の協力、少子化・高齢化などの社会問題への共同対応、ワーキングホリデー拡大を通じた人的交流の強化に同意した。また、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和、日米韓協力の強化に関する意向を再確認した。その中でも特に、少子高齢化や首都圏への一極集中、農業、自然災害など、両国が直面している共通の課題に対する解決方案をともに模索するために、両国間の協議体を設立することで合意した。
さらに、両国首脳は急変する国際情勢の中で揺るがない日韓・日米韓協力関係を築くことが何より重要とし、日韓関係の発展が日米韓協力強化につながる好循環をつくるとした。
首脳会談を受けて、韓国の「毎日経済新聞」は社説で「李大統領の確固たる韓日関係改善の意思が感じられた。韓日関係で具体的な成果を期待できる経済協力から速度を出して取り組むべきだ」(8月24日付)とした。また、進歩系の「ハンギョレ新聞」は社説で「急変する国際情勢下で、韓日関係を安定的に発展させようとする韓国政府の意思は尊重するが、歴史認識や対北朝鮮政策への譲歩の姿勢が懸念だ」(8月24日付)と評価した。
李大統領は同日に在日韓国人との懇談会も開催し、「揺るぎない両国の架け橋の役割を果たす皆さんのおかげで、今後も両国が深い信頼関係を土台に、より大きな協力を実現できると確信している」と述べた。その後、米国に向けて出発し、首都ワシントンで25日(現地時間)にドナルド・トランプ大統領との首脳会談を行う。
(益森有祐実)
(韓国、日本)
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