ベンガルール・メトロの新線が開通、第3フェーズも起工

(インド)

ベンガルール発

2025年08月14日

インド南部ベンガルールの都市鉄道、ベンガルール・メトロの新線イエローラインの開通式が8月10日、ナレンドラ・モディ首相の出席のもと行われた。市内にはすでに南北と東西に運行する路線、グリーンラインとパープルラインがあり、イエローラインの開通は市内の南部から南東部を通る3線目となる。

新線は運行距離19キロメートル(km)の間に16駅が建設され、IT企業の集積地であるエレクトロニックシティーと、市内南部の住宅地バサバナグディ地域をつなぐ。当初は2021年12月の開通が予定されていたが、土地収用の長期化、新型コロナウイルス感染症の流行や中国企業からの車両提供の遅延から、工期の遅れが発生していた。

バンガロール交通公社(BMRCL)によると、イエローラインは1日に72本運行し、約20万人が利用する。なお、地場大手IT企業のインフォシスが運営するインフォシス財団、地場大手製薬企業のバイオコン、台湾系電子機器企業のデルタ・エレクトロニクスが主要駅の建設費用を一部負担しており、モディ首相は「国内の公共インフラ開発に新しいモデルを導入した。革新的な企業の社会的責任(CSR)活動の活用だ」と称賛した。

さらに、モディ首相は同日に、ベンガルール・メトロのフェーズ3(オレンジライン)の起工式にも参加した。フェーズ3は2024年8月に閣議決定され、総工費1,561億ルピー(約2,653億円、1ルピー=約1.7円)で市内西部の44km超の区間に31駅が建設される予定だ。2029年にフェーズ3が完了した場合、ベンガルール市内の222km超がメトロで結ばれ、1日当たり78万5,000人の利用客を見込む。

日本政府も同案件に対する円借款の供与に向けて、準備調査を予定している。なお、フェーズ2建設事業のうち、都心部の外郭環状道路沿いや環状道路から近郊の空港までをつなぐ空港道路沿いの3路線の建設に対して、すでに520億円の円借款契約が結ばれている。

ベンガルールでは、急速な人口増加と自動車保有台数の増加によって交通渋滞が慢性化しており、年間約410億ルピーにも及ぶ経済損失が生じているとされる。メトロの路線延伸により、経済活動のさらなる活性化、ならびに市民生活や大気汚染の改善などが期待される。

(大野真奈)

(インド)

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