米国初の大陸横断鉄道建設に向け2大貨物鉄道会社が合意
(米国)
ロサンゼルス発
2025年08月01日
米国の貨物鉄道会社ユニオン・パシフィック鉄道(本社:ネブラスカ州オマハ)と、ノーフォーク・サザン鉄道(本社:バージニア州ノーフォーク)は7月29日、米国初の大陸横断鉄道建設で合意したことを発表した。米西部に展開するユニオンが東部に展開するノーフォークを850億ドルで買収する。買収後の企業価値は2,500億ドルを超えると推定され、承認されれば業界最大規模の買収となる。
東海岸から西海岸まで43州にまたがる5万マイル(約8万キロ)以上の路線をシームレスに結び、約100の港と北米のほぼ全域をつなぐことによって、米国のサプライチェーンを変革し、米国製造業の産業力を高め、新たな経済成長と労働機会の源泉を創出することを目指すとしている。
買収後の課題は乗り換えの遅延を解消するとともに、新路線を開設し、複合的な輸送サービスを拡大し、輸送時間を短縮することだ。米国の荷主に対してより迅速で包括的な貨物サービスを提供するとしており、現在、両社はインフラ、イノベーション、路線網の拡張に年間約56億ドルを投資している。
CNBC(電子版7月29日)によると、両社は6カ月以内に米国陸上運輸委員会(STB)への申請を目指しており、2027年初頭に買収が完了する見込みとしている。ドナルド・トランプ大統領が任命したSTBのパトリック・フックス委員長は、予備審査の迅速化と合併条件への柔軟なアプローチを提唱してきた。
また、CBSニュース(電子版7月29日)によると、1980年代前半には30社を超える主要な貨物鉄道会社があったが、統合が進み、今日では両社とカナダ企業を含む6社が全米の貨物輸送の大半を担っている。ユニオンとノーフォークの合併により、他の米国4大鉄道会社の残り2社、BNSF(本社:テキサス州フォートワース)とCXS(本社:フロリダ州ジャクソンビル)も、競争優位性を確保するために合併を迫られることになり、残るカナディアン・ナショナル鉄道(本社:カナダ・ケベック州モントリオール)、CPKC(本社:カナダ・アルバータ州カルガリー)の2社にも影響が及ぶ可能性が指摘されている。
(堀永卓弘)
(米国)
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