日ASEANの連携強化へ、ポスト万博を見据えたビジネスフォーラム開催
(ASEAN)
調査部アジア大洋州課
2025年08月14日
国際機関の日本アセアンセンターは8月7日、大阪商工会議所との共催により、ASEANビジネスフォーラム「ポスト万博におけるASEAN地域のビジネスチャンス」を開催した。同フォーラムは、8月8日に大阪・関西万博で行われたASEAN記念日式典にあわせて来日した、サトビンダー・シンASEAN経済共同体(AEC)担当事務次長の参加機会を捉えて実施されたもの。ASEANでの新たな事業機会や将来を見据えた連携強化・交流促進を目的に開催され、日本企業関係者が約90人参加した。
フォーラム登壇者によるフォトセッション(ジェトロ撮影)
基調講演でシン次長は、日本とASEANは長年にわたり緊密な関係を築き、日本が貿易・投資の両面でASEANにとって重要なパートナーであることを強調した。これまで日本産業界がASEANの経済成長を支える上で多大な貢献をし、7,000社を超える日本企業が日本人商工会議所に加盟していることを紹介した。
また、世界では米中間の緊張による二極化が進み、サプライチェーン再構築の重要性が高まるなか、過去数年で恩恵を受けたのはASEANであり、各国企業が付加価値や生産能力の向上のためASEAN投資を進めている事実を説明した。ASEANでは、物品貿易協定(ATIGA)の改定や国境を越えたリサイクル・サーキュラーエコノミーの推進、ASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)の交渉など、自由化と統合の深化を進めていることを説明した。同地域では、研究開発(R&D)の取り組みも進んでおり、小規模な日本のスタートアップが脱炭素技術を実証・商業化した事例もあるなど、イノベーション創出の場としての潜在力を強調した。そのうえで、高いレジリエンスと成長潜在力を持つASEANは日本企業にとって長期的視点での魅力的な拠点であり、同地域への投資を一層強化するよう呼びかけた。
続く講演セッションでは、ジェトロ調査部からASEANビジネスの最新動向について紹介があり、市場変化や新しい事業機会への対応についての洞察を共有した。最後のパネルディスカッションでは、マレーシア投資開発庁(MIDA)大阪事務所、在⼤阪フィリピン総領事館、在⼤阪タイ総領事館が各国ビジネス環境の魅力について紹介した。また、大阪商工会議所の根来宜克国際部長は、同会議所が中心となりASEAN諸国の経済団体とともに設立した「日本アセアンビジネス促進プラットフォーム」の取り組みとして、日・アセアン間における多国間かつ双方向の協力を基盤に、特に中小企業やスタートアップ企業のビジネス展開を支援する活動を紹介した。
(藤江秀樹)
(ASEAN)
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