瀋陽市蘇家屯区、世界初の万トン級の内陸サーモン養殖工場建設へ
(中国)
大連発
2025年08月29日
渤海に面した中国営口市から約150キロの距離の内陸に位置する遼寧省瀋陽市蘇家屯区(行政区の1つ)の政府代表団は8月15日、北京市の中青宝上グループ(注1)本社で同グループと北京新鮭澤水産科技(注2)と契約を締結し、世界初の万トン級のRAS(注3)陸上サーモン養殖スーパー工場を同区に建設すると発表した。このプロジェクトでは同グループが23億元(約483億円、1元=約21円)を投資し、北京新鮭澤水産科技が運営する。年間生産能力は1万トンに達する見込みだ。
同プロジェクトはスマート化システムを活用しながら、将来的に次の機能を実現させるという。
- 環境の精密なコントロール:大西洋サーモンの自然生育環境を再現し、水質、水温(定温13度)、溶存酸素量をリアルタイムでモニタリングし、人工知能(AI)アルゴリズムによって給餌と病害防除を最適化させる。
- 産業チェーンの一体化:魚卵のふ化から養殖、加工、コールドチェーンによる配送までの過程を一貫して管理し、輸入製品の鮮度をはるかに上回る「養殖場から食卓まで24時間直達」を実現させる。
- グリーン循環:排水に生物化学的ろ過やUV殺菌などの処理を行うことで、汚染物質の排出量を80%以上削減し、水資源の循環利用率99%達成を目指す。
中国の水産養殖業は世界全体の60%以上を占めているものの、大西洋サーモンの生産量は1万トン未満で、ノルウェーやチリなどからの輸入を主としている。近年、中国でサーモン消費が急速に拡大しており、2024年にはノルウェーからの輸入量が13万トンを超え、世界第8位の市場となっている(「中国日報网」8月18日)。中国ではこれまで、RAS大型工場の技術的制約により、陸上RAS養殖サーモンの1,000トンを超える生産は困難だった。今回、北京新鮭澤水産科技のRAS技術により、国内での養殖の発展・拡大が期待されている。同プロジェクトでは今後、同規模の工場を全国で20カ所以上展開する計画で、2030年までに年間20万トンの生産規模を実現させる目標となっている。
(注1)中国の企業情報サイト「企査査」によると、2022年7月に北京で設立され、登録資本金は約25億5,000万元(約535億5,000万円、1元=約21円)。
(注2)中国の企業情報サイト「企査査」によると、2025年7月に北京で設立され、登録資本金は1,000万元。
(注3)Recirculating Aquaculture Systems:閉鎖循環式養殖で、陸上養殖とも呼ばれる。
(李穎)
(中国)
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