抗議デモの影響で景気減速、政策金利をさらに引き下げ

(ケニア)

ナイロビ発

2025年08月19日

ケニア中央銀行の金融政策委員会(MPC)は8月12日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、9.50%とすることを決定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。2024年8月6日の引き下げ以来、7期連続の引き下げだ。

国内の経済活動が依然として低調なことが背景にある。ケニアのスタンビック銀行は8月5日、7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を46.8と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。この値は5月以来連続で前月比低下し、かついずれも50を下回っている。同行エコノミストのクリストファー・レジリショ氏によると、6月の抗議デモ(2025年7月1日記事7月14日記事参照)がビジネスに負のインパクトをもたらし、民間セクターの生産と新規発注が減少した。また、7月のガソリン価格の引き上げによる価格上昇圧力や増税が影響したと分析している。

ケニア国家統計局(KNBS)は7月31日、2025年7月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比4.1%だったと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。項目別でみると、食品・飲料が6.8%、アルコール飲料・たばこが5.1%、交通が4.1%だった。2024年10月にはCPI上昇率が2.7%まで下がっていたものの、以降はケニア中央銀行の政策金利引き下げの影響もあり、CPI上昇率は加速傾向にある。

しかしMPCは、エネルギー価格の上昇を受け、CPI上昇率はやや加速傾向にあるものの、短期的には2.5~7.5%のターゲットレンジに収まっていることから、一層の金融緩和により民間セクターの経済活動を支えるべく、利下げに踏み切ったとしている。

(佐藤丈治)

(ケニア)

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