アゼルバイジャンの天然ガスがトルコ経由でシリアへ供給開始
(トルコ、シリア、アゼルバイジャン、ウクライナ)
イスタンブール発
2025年08月14日
アゼルバイジャンの天然ガスが8月2日、トルコ経由でシリアへ輸送開始された(8月3日付国営アナドル通信)。トルコを経由したシリアへのガス供給は初となる。このトルコ・シリア天然ガスパイプラインは、アゼルバイジャンからトルコ南部、シリア国境近くの都市キリス経由で、シリアのアレッポへ輸送するもので、2025年5月に完成した。1日600万立方メートルの輸送能力を持ち、年間20億立方メートルの輸送を可能にする。
アゼルバイジャンの有識者によると、同国は近年、石油生産量の減少を背景に、ガス生産量の拡大に意欲的で、市場拡大を目指している。同国にとって欧州とトルコが主要供給先だが、欧州向けは、収益性が高いもののパイプラインインフラの拡大が必要なこと、化石燃料関連プロジェクトへの融資が停止していることも背景にあるという。また、トルコの立場から見た場合、アゼルバジャンとシリア両国の仲介をおこなうことで、シリアの復興およびエネルギー安全保障と、トルコの地域的エネルギーハブ計画の両方の目標実現につながるとされている。
ほかに、アゼルバイジャンの天然ガスを、ロシアの侵攻により天然ガスが不足しているウクライナに供給する計画も報道されている(7月29日付「Patronlardunyasi」)。トルコ経由で、ブルガリアとルーマニアを通過するトランスバルカン回廊を使う計画だ。
なお、トルコ・シリア関係においては、シリアのモハンマド・ニダル・アルシャール経済産業相が、8月にトルコ海外経済関係評議会(DEIK)を訪問している。この会議ではシリア復興について議論され、両国間の関係再構築のためのトルコ・シリア・ビジネス評議会設立に関する覚書など10の覚書が締結された。
(井口南)
(トルコ、シリア、アゼルバイジャン、ウクライナ)
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