中国、個人年金受給に関する通知発表、受給条件や申請方法を明確化

(中国)

武漢発

2025年08月26日

中国の人力資源・社会保障部など5部門(注1)は8月19日、個人養老金(年金)受給に係る事項に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。この通知について、個人年金(注2)の受給条件を充実させることと、多様化する個人年金加入者の受給ニーズを満たすものとしている。通知は2025年9月1日から施行される。

通知では、個人年金の受給条件として、(1)基本年金受給年齢に達した場合、(2)労働能力を完全に喪失した場合、(3)国外に定住する場合、(4)年金受給申請日前の12カ月間に本人または配偶者、未成年の子供について、基本医療保険に関連した医療費支出があり、医療保険の払い戻し分を差し引いた自己負担額(医療保険範囲内の自己負担部分)の累計が当該省(自治区・直轄市)の前年度の住民1人当たり可処分所得を越える場合、(5)年金受給申請日前の2年間に受給した失業保険金が12カ月分を越える場合、(6)都市・農村の最低生活保障金(注3)を受給している場合という計6つを挙げている。また、受給者が死亡した場合、個人年金口座内の資金は相続可能なほか、受給方法については月払い、分割払い、一括払いなど、必要に応じて変更できるとした。

受給条件に合致している場合、社会保険公共サービスプラットフォームなど全国統一のオンラインサービス窓口や、個人年金口座を開設した銀行、基本年金関係所在地の社会保険運営機関などで受給申請が可能となる。各社会保険運営機関は受給申請の受領後、確認を経て、個人年金情報管理サービスプラットフォーム上にアップロードする。その後、同情報管理プラットフォームが各申請チャネルを通じて申請者に対する結果の通知を行う。

そのほか、個人年金資金口座を開設した市の商業銀行機関は、個人年金を受給する加入者の納税状況について、全員分かつ全額分の明細申告を行うものと定めた。

年金の受給に関しては、7月に定年退職者の基本年金が2%引き上げられるなど、調整措置が講じられている(2025年7月18日記事参照)。

(注1)人力資源・社会保障部、財政部、国家税務総局、金融監督管理総局、証券監督管理委員会の計5部門。

(注2)中国の養老保険(年金)制度は、第1の柱の強制加入の基本養老保険(都市部で働く企業就業者や自営業者を対象にする都市従業員基本養老保険と、都市戸籍の非就労者、農村部住民向けの都市・農村住民基本養老保険を含む)、第2の柱の任意加入の企業年金・職業年金、第3の柱の個人向けの商業保険という3つの柱で構成している。

(注3)中国の「最低生活保障(低保)制度」に基づき、都市や農村の貧困家庭に対して支払われる保障金のこと。

(西島和希)

(中国)

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