南アの鉱業は第2四半期に緩やかに回復
(南アフリカ共和国)
ヨハネスブルク発
2025年08月18日
南アフリカ共和国統計局(Stats SA)は8月12日、2025年6月の鉱物生産・販売データを発表した。プラチナや金の高価格に支えられ、南アの2025年第2四半期(4~6月)の鉱物生産や販売は緩やかながら回復傾向にある。
南アの鉱業生産量は、6月に前年同月比2.4%増加した。PGMs(プラチナとプラチナ族金属)が3.0%増加したほか、石炭が3.7%増、クロム鉱石が9.0%増となった。この結果、部門全体で第2四半期は第1四半期(1~3月)と比べ、3.9%の増加となった。第2四半期は、前期と比較してPGMsの生産量が9%増加したほか、金生産も4.7%増、クロム鉱石生産は8.5%増となった。
ウクライナや中東での不安定な情勢による、地政学的リスクに伴う金属価格の上昇が生産量増加を後押ししている。金は、ここ数カ月高価格を維持しているほか、プラチナは7月に10年ぶりの高水準に達しており、南アの鉱山会社にとっては産出増のための良好な環境が整っている。
こうした生産量の改善にもかかわらず、南アの鉱物の6月単月の販売額は前年同月比で14.4%減少した。これは主に金、マンガンの販売がそれぞれ前月比53.7%、33.7%減少したことが要因。ただし、第2四半期を通しての販売額をみると、前期と比較して6.6%増となった。
中期的にみると、鉱業生産量は後述のような国内の制約緩和を背景に、前年比7.8%減となった2022年との比較し改善してきたとはいえ、2023年は0.1%増、2024年は0.3%増にとどまった。これは2024年の鉱業生産量も、新型コロナ前の水準に戻っていなかったことを意味する。8月5日、南ア鉱物評議会が発表したレポートで、ムジラ・ムセンジャネ(Mzila Mthenjane)CEO(最高経営責任者)は「南アの鉱業は、鉱業の電力負荷の制限がなくなったことや物流の改善などの進展により、今後数年でその真の潜在能力を発揮するための基礎を築き始めている」と述べ、今後のさらなる生産回復への期待を示した。
(多崎央)
(南アフリカ共和国)
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