タイ政府、トランプ米政権との貿易交渉の経過報告、原産地規則に焦点

(タイ、米国)

バンコク発

2025年08月15日

タイ商務省は8月7日、米国の相互関税を巡り、トランプ政権との貿易交渉について状況を報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

相互関税は、米国のドナルド・トランプ大統領が7月31日に発表した大統領令(2025年8月1日記事参照)に基づき、一般税率(MFN税率)に上乗せされるかたちで、タイには19%が適用されている(注)。トランプ大統領は、一度はタイ向けに36%の相互関税率を発表していた(2025年7月8日記事参照)。

今回の報告で、タイ商務省のチャンタウィット・タンタシット副大臣は、米国との間で「相互関税協定文書(ART Text)」の策定に向けた交渉を進めており、文書が確定次第、国会での審議・承認を目指す方針を示した。なお、両国間の「共同貿易声明」は閣議決定されているとして、近日中に米国通商代表部(USTR)によって正式に発表される見通し(商務省8月4日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

チャンタウィット副大臣は、19%という相互関税率はタイ企業にとって競争力維持の観点から「好材料」となり得るとしつつ、新たな「域内付加価値(RVC)」の計算方法や原産地規則への対応が求められると述べた。今後の米国との交渉では、市場アクセスや非関税障壁の削減、品目別の関税率などが議題となる予定だ。タイ政府として、正式な署名に向けて、交渉結果がタイ側の利益を最大化するよう、バランスの取れた合意を目指す。

また、商務省は8月7日、バンコク・ラチャダ地区の輸出センター内に「商務省ワンストップ・サービスセンター」を設置した。新たな基準やグローバル市場での競争に適応する企業を支援するため、税務相談や情報提供、貿易機会の拡大などを提供する。タイ商工会議所や輸出入銀行などと提携し、今後も関連省庁やタイ工業連盟などが同センターに参画する予定だ。窓口での相談や電話対応にも応じる。

(注)相互関税率は、大統領令の発令日(7月31日)から7日後の米国東部時間午前0時1分以降に通関した貨物に適用される。ただし、それまでに船舶に積載され、最終輸送手段によって輸送中で、10月5日午前0時1分までに通関した場合は適用されず、ベースライン関税10%のみが課される。

(藪恭兵、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、米国)

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