万博ナショナルデーとTICAD9でチュニジアミッション団が訪日、大阪で経済セミナー開催
(日本、チュニジア)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年08月21日
チュニジア輸出振興センター(CEPEX)と在日チュニジア大使館は8月18日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のナショナルデーと、第9回アフリカ開発会議(TICAD9)開催に合わせた同国ミッション団の訪日に伴い、大阪で経済セミナー開催した。大阪商工会議所と共催した。
ムラド・ベン・ハッシンCEPEX社長兼大阪・関西万博チュニジア館コミッショナーはセミナーで、チュニジアの経済概要について説明した。まず、同国はEUとの自由貿易協定(FTA)や東南部アフリカ市場共同体(COMESA)、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA
)を通じて、80を超える国・地域の延べ13億人の市場へのアクセスが可能と述べた。現在推し進めている経済構造改革にも触れ、輸出競争力強化に向け付加価値を高める取り組みを行っており、自動車、航空宇宙、製薬、IT、農業、再生可能エネルギー、繊維などを優先分野として掲げているとした。その上で、代表的な進出日系企業として住友電工や住友電装、矢崎総業などを挙げ、こうした企業はコストや立地だけを考えているわけでなく、長期ビジョンを持ってチュニジアで操業していると評価した。
ムラド社長のスピーチ(ジェトロ撮影)
ジェトロの仲條一哉参与は、チュニジアに進出している日系企業数は27社にすぎないが、現地での雇用者総数が2万人に上るなど、現地へのインパクトは小さくないと指摘した。また、同国のGDPに占める外資の割合が70%に達していることや、2024年の同国の外国直接投資受け入れ金額が2020年比で60%増加していることは外国企業が同国の投資環境を高く評価している証しと述べた。その上で、同国には研究開発が可能な高いレベルの人材がおり、時代の潮流に沿った研究開発や新産業に対応できる力があると強調した。
チュニジアで健康・美容製品を製造するサラヤの専務取締役の更家一徳氏(在大阪チュニジア名誉領事)は同国の強みについて、地理的に欧州や中東、アフリカへのアクセスが良いため、市場展開を考える上で選択肢としては非常に良いと述べた。また、人材面では、教育水準が高い一方で、人件費コストが中東や欧州ほど高くない点が挙げられるとした。
このほか、両国間でのヘルスケア分野の取り組みに関する報告があり、日本とアフリカ諸国との経済・文化交流を促進するアフリカ開発協会(AFRECO)がチュニジアの大学と連携した医療機器の取り扱い技術者の育成支援や、心臓病学分野の第三国での研修実施について紹介した。治療技術の研究開発を行う「K Tokyo」からは、チュニジアでの湯治療法実施に関する説明があった。
セミナー終了後の参加者によるフォトセッション(ジェトロ撮影)
(齋藤寛)
(日本、チュニジア)
ビジネス短信 6e148a52f10e6301