2024年の温室効果ガス排出量、前年比5.5%減、2005年比で47%減

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2025年08月04日

ドイツ連邦環境庁(UBA)は7月16日、2024年のEU排出量取引制度〔EU ETS(注1)〕の対象となる国内施設(注2)での温室効果ガス(GHG)排出量が前年比で約5.5%減少したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、ドイツ語)。2005年の同制度導入時点の排出量に比して、GHG排出は47%削減されたとした。

分野別に見ると、エネルギー分野では2024年に1億7,100万トンのGHGが排出された。これは前年比9.5%減、2005年比では約54%減となった。再生可能エネルギーの拡大や石炭・褐炭火力発電の縮小、電力輸入の増加が主な要因として挙げられる。一方で、製造業などのエネルギー多消費産業では、前年比1.1%増の約1億200万トンが排出され、ほぼ横ばいで推移している(2005年比では約29%減)。

2012年からEU ETSの対象となった航空分野では、前年比約16%増の約890万トンのGHGが排出された。2024年の航空交通量は新型コロナウイルス流行によるパンデミック以前の水準に戻っており、2022年以降の増加傾向が続いている。2024年から大型船舶(総トン数5,000以上)によるGHG排出がEU ETSの報告対象に追加された海運分野では、現時点で同報告が出そろっておらず、確定的なデータはないとしている。

ディルク・メッスナーUBA長官は、GHG排出量取引による2024年の約185億ユーロの収益はドイツ連邦政府の気候・変革基金の主要な財源となっていると述べた。ドイツは2045年までに気候中立(GHG排出実質ゼロ)を達成するとしており、この方針は2025年5月に発足した新政権でも維持されている。

(注1)EU ETSは、エネルギー産業やエネルギー多消費産業、航空産業、2024年1月以降は海運業の排出量も対象としている。2027年以降は陸運業や建築業、小規模産業も対象としたEU ETS IIが導入される予定だ(2024年5月27日付地域・分析レポート参照)。

(注2)EU ETSの対象となるエネルギー産業とエネルギー多消費産業の施設(ドイツ国内で1,716カ所)。

(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)

(ドイツ)

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