村田製作所、インド南部チェンナイで積層セラミックコンデンサの包装・出荷施設を開所

(インド)

チェンナイ発

2025年08月13日

村田製作所のインド法人ムラタ・エレクトロニクス・インディアは88日、インド南部タミル・ナドゥ(TN)州ワンハブ・チェンナイ工業団地で、積層セラミックコンデンサの包装・出荷施設の開所式を開催した。同社は、2009年にインドに進出し、2010年にチェンナイで法人を設立したが、インド国内における生産拠点は今回が初めてとなる。また同社によれば、インド国内に同様のコンデンサ生産拠点を持つ企業はなく、インド全体でも初めての生産施設となる。2025年内の本格生産を目指しており、生産量は需要に応じて順次拡大する予定だ。

写真 開所式の様子(ジェトロ撮影)

開所式の様子(ジェトロ撮影)

開所式には、T・R・BラジャアTN州工業相が出席し、製造拠点としてチェンナイを選択したことに対する謝意を表明した。また、「TN州として、進出企業と良い関係を維持発展させたい。操業上の課題として州政府に提起された事案については、迅速に対処していく。今後もTN州政府を信頼してほしい」と、外資系企業に向けた支援を継続する意向を表明した。

あいさつに立ったムラタ・エレクトロニクス・インディアの橋本武史社長は、今回の生産拠点設立について「村田製作所として製造拠点の第一歩だ。大きな挑戦であるのみならず、世界全体を俯瞰(ふかん)すると、インドは地理的にも戦略的な場所として重要」と述べ、「顧客ニーズに応じて、高品質な商品を提供するとともに、TN州の発展にも貢献したい」と抱負を語った。

村田製作所によると、今回の拠点立ち上げにあたり、同社のフィリピン、シンガポールの生産拠点にインド法人の従業員を派遣して技術研修を実施した。特にシンガポールは、TN州の主要言語であるタミル語が公用語の1つであるため、シンガポール拠点で経験を持つインド系のスタッフをチェンナイ工場に派遣するなどして、新拠点のスムーズな操業を目指している。

インドでは、米国アップルや韓国サムスン電子向けをはじめとしてスマートフォンの生産が拡大しており、それに伴って電気・電子部品の需要が増加している。スマートフォン1台にはおよそ1,000個のコンデンサが使用されており、基本部品として重要かつ大量に使用されることから、同部品の需要も飛躍的に伸びると見込まれている。

(白石薫)

(インド)

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