英政府、パレスチナの国家承認に関し声明発表、イスラエルなどに対応求める

(英国、イスラエル、パレスチナ)

ロンドン発

2025年08月01日

英国のキア・スターマー首相は7月29日、パレスチナ自治区ガザ地区の人道危機とパレスチナの国家承認に関する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。スターマー首相は、イスラエル政府側がガザ地区の惨状の終了や、長期的で持続的な和平に対するコミットメントに向けて実質的な取り組みを行わない場合、9月に開催される国連総会前に国家承認を行う方針を示した。具体的な取り組みとしては次を挙げている。

  • イスラエル軍のガザ地区からの撤退
  • ガザ地区での国連による人道的支援の供給再開許可
  • 停戦への同意
  • ヨルダン川西岸地区の併合を行わないこと

一方、ハマスに対しては、全ての人質の即時解放や、即時停戦への同意、武装解除とガザ政府に関与しないことを受け入れることを求めた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が24日にパレスチナの国家承認について発表した際には、スターマー首相は国家承認が「二国家解決」につながる広範な計画の一部でなければならないとして、明言を避けていた。今回の発表に対し、野党・保守党のケミ・ベイデノック党首は、パレスチナの国家承認は実質的な解決につながらないと批判している(「スカイ」7月30日)。

スターマー首相は29日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、イスラエルには自衛権と安全保障の権利があることは明らかだと述べつつ、ガザ地区への人道支援に対する制限を全て解除することを求めた。また、ネタニヤフ首相に対して、人質解放やパレスチナ国家の承認などについて、閣議を開催する意向も伝えた。

英政府は停戦の実現に向けた米国、カタール、エジプト政府の取り組みを支持するとし、人道危機の緩和に向けて、ヨルダンと連携した人道支援物資の空輸、負傷した子供の英国の病院への搬送など、状況の緩和に向けてさらなる取り組みを行うとしている。

(バリオ純枝)

(英国、イスラエル、パレスチナ)

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