ビンファスト、インド南部タミル・ナドゥ州でEV工場の開所式開催
(インド、ベトナム)
チェンナイ発
2025年08月06日
ベトナムの電気自動車(EV)メーカーのビンファストは8月4日、インド南部のタミル・ナドゥ(TN)州トゥートゥクディ(旧ツチコリン)で、新工場の開所式を開催した。開所式にはTN州政府からM・K・スターリン州首相のほか、投資誘致を所管するT・R・Bラジャア州工業相、K・K・S・S・R・ラマチャンドラン歳入・防災相、T・M・アンバラサン農村産業相、ギータ・ジーバン社会福祉・女性エンパワーメント相、アニーター・ラダクリシュナン漁業・漁民福祉・畜産相、マノ・タンガラジ酪農相ら閣僚6人が参加し、TN州政府の関心の高さを示した。
ビンファストの発表によると、タミル・ナドゥ工場では、当初2種類の高級SUV(スポーツ用多目的車)の「VF7」「VF6」を生産する予定で、年産能力は5万台となる。今後、需要に応じて15万台まで拡大する。同社は2030年までに世界で年間100万台の生産を目標に置いている。
ラジャア州工業相は開所式で「本日は歴史的な日」と述べた。2024年1月にTN州政府とビンファストが覚書を締結した際、工場設立に対し懐疑的な声が多く上がったが、起工式から18カ月という短期間で工場を立ち上げたことを高く評価し、その上で、ビンファストのTN州政府・スターリン州首相への信頼、TN州政府のビンファストへの進出支援があり、今日の開所式が実現したと述べた。
ビンファストは、タミル・ナドゥ工場に250人の専門家を配置し、ロボットを導入するなど、90%をオートメーション化しており、出荷検査のデジタル化を含め、最新鋭の技術を導入した工場だと明らかにした。
ビンファスト・アジアのファム・サン・チャウ最高経営責任者(CEO)はジェトロに対し、工場建設地にTN州の港町トゥートゥクディを選択した理由について、国際港や国際空港があることや、TN州政府の熱心な誘致と支援、さらには、チェンナイ近郊の混雑度の高さを挙げるとともに、トゥートゥクディでの立ち上げ、操業コストの低さも要因として示した。
日本をはじめ欧米先進国からインドに進出した場合、駐在員の生活環境が課題になるが、ベトナムからの駐在員にとっては、トゥートゥクディの生活レベルはベトナムと大差ないことなども、ビンファストの進出の背景にあると思われる。
チャウCEOは現在もサプライヤーから多くの売り込みを受けていると述べた上で、かつて駐インド・ベトナム大使を経験し、ベトナムでは外交官として日本との交流にも関わったことにも触れ、日本からの設備、部品の調達や技術協力などの連携は歓迎すると述べた。
新工場の開所式の様子(TN州投資誘致機関のガイダンス提供)
(白石薫)
(インド、ベトナム)
ビジネス短信 4f90941c1dd958d7