大阪・関西万博とTICAD9に合わせ、東大阪市で大阪アフリカビジネスフォーラム2025開催
(アフリカ、日本)
調査部調査企画課
2025年08月28日
在日アフリカ人ネットワーク(Africa Diaspora Network Japan、ADNJ、注)は8月25日、東大阪市内で「大阪アフリカビジネスフォーラム2025」を開催した。同フォーラムは、大阪・関西を中心とした日本企業とアフリカ企業とのビジネス機会の創出や交流促進を目的に2022年から開催されている。4回目となった今回は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)および第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の開催に合わせるかたちで実施された。フォーラムにはガボン、ジンバブエ、ブルキナファソなどの政府関係者のほか、日本、アフリカの企業関係者など約200人が参加した。
冒頭あいさつで、ADNJのデイビッド・クリスチャン・ポンデウ会長は、近年のアフリカ各国の経済成長は著しく、多くのビジネスチャンスがあるが、まだ大半の日本企業はアフリカに対するイメージが古い。ADNJは本物のアフリカを日本に伝えることを使命としており、アフリカへのビジネス展開に向けたプラットフォームとして活用してほしいと述べた。また、野田義和東大阪市長は、東大阪市に日本のものづくりを支える中小企業が多いことを挙げ、日本とアフリカ各国の中小企業の交流が相互の経済発展に寄与すると述べた。
続く基調講演では、エルシー・ギェキェワー・アタフォア国連開発計画(UNDP)ナイジェリア常駐代表が登壇した。アフリカは30歳以下の若者人口が多く、人材が豊富であること、また、近年、アフリカ発のスタートアップが増えているため、日本企業は投資だけでなく、ビジネスパートナーとしてアフリカ企業とのつながりを強化してほしいと期待を述べた。
大阪アフリカビジネスフォーラムに登壇したアタフォアUNDPナイジェリア常駐代表(ジェトロ撮影)
フォーラムの後半には、「投資と貿易の可能性を切り拓く:日本とアフリカの共創機会」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。パネリストとして、国際協力銀行(JBIC)の米山泰揚常務執行役員、ナイジェリア出身の起業家クリストフ・フォラヤン氏、ポンデウADNJ会長が登壇した。
日本とアフリカ企業の共創の可能性について、米山氏は、この10年間でベンチャーキャピタル(VC)によるアフリカのスタートアップへの投資が急増しているとし、日本企業は注目が足りないと指摘した。また、アフリカ各国で投資経験のあるフォラヤン氏は、アフリカのスタートアップの状況について、既にフィンテックは飽和状態である一方、クリーンエネルギー、アグリテック、ヘルステックを有望な分野として挙げた。さらに、ポンデウ会長は、日本とアフリカのスタートアップや若者同士の交流を促進し、相互理解を深めることで、イノベーションにつながる新たな事業創出ができると語った。
このほか、質疑応答では、アフリカ企業とビジネスを進める上での留意点や信頼できるパートナー探しに関するアドバイスなど、参加者とパネリスト間で活発な意見交換が行われた。
(注)法務省の在留外国人統計によると、日本に在住するアフリカ人は2024年12月時点で2万9,518人。
(小林美晴、土屋朋美)
(アフリカ、日本)
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