メキシコのAI分野強化に向けたプログラム始動

(メキシコ)

調査部米州課

2025年08月13日

メキシコ企業家調整評議会(CCE)は7月29日、国内の人工知能(AI)関連産業の発展を目的としたプログラム「メキシコAIプラス(MÉXICO IA+)」を発表した。同プログラムには、政府のほか、米国半導体大手エヌビディアなども参画し、連邦・地方政府、学術界、民間企業によるセクター間の連携促進を狙う。マルセロ・エブラル経済相は会見で、メキシコ独自の言語モデルの必要性に言及し(「エル・エコノミスタ」紙7月29日付)、CCEのプレスリリースでも「主権的な」AI関連技術の開発に複数回言及した。具体的な政策は明らかになっていないが、11月12、13日にプログラムの一環で開催されるイベントで明らかになるとみられる。

メキシコ政府はこれまで目立ったAI分野の政策を発表しておらず、地方政府や民間団体による提言が主だった。例えば、産業界や学術界などの専門家で構成した民間団体「国家AI連合(Alianza Nacional de Inteligencia Artificial:ANIA)」は2024年5月に、AIの活用戦略や規制に関する政策提言を盛り込んだ報告書を発表した。

関連して、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は8月6日に開催した同社主催のイベントで、今後3年間で49万5,000人のメキシコ人に対し、AIやクラウド分野のデジタルスキルに関する能力開発プログラムを行うことを発表した。AWSメキシコのルベン・ムガルテグイ氏によると、今回のプログラムは経済省と連携して実施され、国内の中小企業やスタートアップの技術力向上を目的としているという。イベントに同席した経済省産業開発ユニットのヒメナ・エスコベド氏は「(米国への)ニアショアリングで、製造業以外の分野も強化する必要がある。今回のプログラムはこれに資するものだ」と述べ、政府としてAIを含むデジタル分野の強化に取り組んでいく姿勢を示した(「エル・フィナンシエロ」紙8月6日付)。

(加藤遥平)

(メキシコ)

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