インドネシア最大の自動車展示会GIIAS 2025開催、日中メーカーがEV新型車で存在感

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年08月19日

インドネシア最大の自動車展示販売会「第32回ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS 2025)」が7月24日から8月3日まで、インドネシアのジャカルタ近郊で開催された。会期11日間の来場者数は48万5,569人で、前年(47万5,084人)を上回り過去最多を更新した。乗用車および商用車を中心に60以上のブランドが出展し、日本勢のほか、中国の比亜迪(BYD)、広州汽車(AION)、北京汽車(BAIC)、そして吉利汽車(Geely)など新規参入を含む幅広いメーカーが名を連ねた(「ビスニス」8月4日)。

開会式に出席したアグス・グミワン・カルタサスミタ工業相は、本展示会が「国内における新車購入を回復させるきっかけとなることを期待する」と述べた。特に、「GIIASがアジアで有数の規模を誇る自動車展示会であり、インドネシアが単なる市場にとどまらず生産および輸出の拠点としての地位を強化する場として重要な役割を果たす」と強調した(「アンタラ」7月24日)。

インドネシア市場で高いシェアを持つ日系メーカー各社も、本展示会に合わせて新型車を投入した。トヨタ自動車はGIIAS 2025において、バッテリー式電気自動車(BEV)「bZ4X」をインドネシアで初めて現地生産すると発表した。トヨタ・アストラ・モーター(TAM)の上田浩之社長は同社プレスリリースで、「国内生産により、価格競争力の向上と部品供給体制の強化を図ることで、政府のEV(電気自動車)普及政策と国内自動車産業育成に貢献する戦略的施策と位置付けている。bZ4Xを現地生産BEVの象徴的モデルとし、持続可能なモビリティの普及を加速させたい」と述べた(7月23日付TAMプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

写真 トヨタが発表した「bZ4X」(ジェトロ撮影)

トヨタが発表した「bZ4X」(ジェトロ撮影)

ホンダは、新型ハイブリッド多目的車(MPV)「ステップワゴン e:HEV」を6億2,900万ルピア(約572万円、1ルピア=約0.0091円)でインドネシアに初投入し、発売直後に約200台の予約受注を得た(「ビスニス」8月4日)。また、三菱自動車は、小型スポーツ用多目的車(SUV)の新型車「デスティネーター」を世界初公開し、同モデルだけで約1,900台の販売契約を締結した(8月5日付MMKSIプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

写真 三菱自動車が発表した「デスティネーター」(ジェトロ撮影)

三菱自動車が発表した「デスティネーター」(ジェトロ撮影)

本展示会では、中国系メーカーの台頭が一段と鮮明となった。EV大手メーカーのBYDは小型電気自動車「ATTO 1」を正式発表し、価格は約1億9,500万ルピア(約177万円)とインドネシア市場で最も安い価格帯のEVになった。同車の航続距離は、300~380キロメートルほどだ(「ビスニス」8月2日)。

写真 BYDが発表した「ATTO 1」(ジェトロ撮影)

BYDが発表した「ATTO 1」(ジェトロ撮影)

また、上汽通用五菱汽車(SGMW)は5ドア小型EV「ビンゴ(Binguo)EV」を初公開し、展示期間中に2,395台の予約を獲得した(「ビスニス」8月6日)。さらに、奇瑞汽車(Chery)は傘下の新ブランド「Lepas」によるSUVタイプのEV(L4・L6・L8)を世界初披露したほか、小鵬汽車(XPeng)、Geely、Chery傘下のJaecooなどが今回初めてGIIASに出展した(「テンポ」7月28日)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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