上半期の外国投資、前年同期比3.9%減少、日本は国・地域別第5位維持

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年08月20日

インドネシア投資・下流化省は7月29日、2025年上半期(1~6月)の直接投資実績額を発表した。外資系企業による投資実績額(FDI)は前年同期比3.9%減の270億3,420万ドルだった(添付資料表1参照)。四半期別に見ると、第1四半期(1~3月)は前年同期比5.6%増だったものの、第2四半期(4~6月)は同12.8%減で、2021年第3四半期(7~9月)以来のマイナスに転じた。また、国内投資と外国投資を合計した累計の投資実績額は581億1,956万ドル、そのうち外国投資が全体の46.5%を占めた。

国・地域別では、外国投資全体の32.5%を占めるシンガポール系が87億7,850万ドルで引き続き首位だった。次いで香港系45億7,610万ドル、中国系35億6,880万ドル、マレーシア系17億3,650万ドルと続いた。日系企業による投資実績額は、前年同期比9.6%減の16億2,080万ドルで、第5位を維持した。

業種別で最も投資が多かった分野は基礎金属・金属製品・非機械および器具で、72億8,820万ドル(外国系企業の投資総額の27.0%)だった。次いで鉱業が24億4,930万ドル(同9.1%)、その他サービスが21億9,280万ドル(同8.1%)だった(添付資料表2参照)。

地域別にみると、日系企業などが集積する西ジャワ州での外国投資額が39億7,330万ドルで最大だった。次いでニッケルなどの採掘地の中部スラウェシ州(37億4,700万ドル)、ジャカルタ特別州(31億5,210万ドル)と続いた。

政府が推進する下流化政策(注)の対象産業の投資実績額は、前年同期比54.8%増の280兆8,000億ルピア(約2兆5,272億円、1ルピア=約0.009円)で、投資総額の29.8%を占めた(「アンタラ」7月29日)。ロサン・プルカサ・ルスラニ投資・下流化相は「この結果は政府の一貫した下流化政策の影響が大きい」と述べた。また、世界第2位の海藻生産国であることを踏まえ、特に海藻生産拡大を奨励していきたいと述べた(7月29日付BKPMプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

経済金融開発研究所(INDEF)のリザル・タウフィクラフマン・マクロ経済センター所長は「外国投資実績の減少には、世界経済の減速、先進国での政策金利変動などの外部圧力、選挙後の政権移行など内部の不確実性が反映されている」と指摘した(「コンタン」8月8日)。

(注)サプライチェーンの川下を含めた高付加価値化のことで、政府は下流化(hilirisasi)という単語を多く用いる。インドネシア政府は主要資源の国内加工・製品化による付加価値創出を狙いとしており、鉱業(ニッケルなど)、海藻、農林産品など多様なセクターがその対象となっている。

(八木沼洋文、デシー・トリスナワティ)

(インドネシア)

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