ANAと米ジョビーが協業拡大、日本で100機超のエアタクシー導入へ
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2025年08月12日
電動垂直離着陸機(eVTOL)、いわゆる「エアタクシー」を開発する米国のジョビー・アビエーションは8月5日、ANAホールディングスと日本国内でeVTOLを活用したエアタクシーサービス展開に向け、協業関係を大幅に拡大し、合弁会社設立に向けて本格検討を開始すると発表した。両社のプレスリリースによると、新たに合弁会社を設立し、100機超のジョビー機によるエアタクシーサービスを日本国内で段階的に導入する計画で、まずは東京を起点にサービスを展開し、都市間移動や空港アクセスの手段として活用する見通しだ。
ANAホールディングスの芝田浩二代表取締役は「エアタクシーは日本の都市交通の課題解決に直結し、地域交流や移動の効率化に資する」と述べた。両社は離着陸場の整備や操縦士の訓練、機体整備支援体制の構築など、エコシステム整備に向けて官民の連携も加速させる。主要パートナーにはジョビーに出資するトヨタ自動車も含まれる。
ジョビーのeVTOL機はヘリコプターのように垂直に離着陸し、飛行機のように高速飛行ができ、最大時速は320キロだ。乗員は操縦士1人と乗客4人で、運用時の騒音は小さく、排出ガスはゼロ。都市部での短距離移動手段として期待されており、例えば、1時間の車移動を数分に短縮することが可能となる。
両社は2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で、10月1~13日にANAの塗装を施した空飛ぶクルマ「Joby S4」によるデモンストレーション飛行も予定しており、操縦士による垂直離陸、前進飛行、着陸までを披露する予定だ。
ジョビーは事業基盤拡大も進めており、8月4日には都市型エアモビリティー大手ブレード・エアの旅客事業を最大1億2,500万ドルで買収する契約を締結した。ニューヨーク市や南欧へ基盤を拡大する。また、8月1日には防衛大手L3ハリス・テクノロジーズと、防衛用途向けガスタービン式ハイブリット垂直離着陸(VTOL)機の共同開発に向けた協業を発表した。有人と自律(注)の両運用に対応し、低高度長距離任務に対応すると発表した。
(注)パイロットの介入なしに、飛行機が自ら飛行計画を実行したり、周囲の状況を判断して飛行経路を調整したりする機能のこと。
(松井美樹)
(米国、日本)
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