タイ中銀、政策金利を引き下げ1.50%に、年後半に経済減速を見込む
(タイ)
バンコク発
2025年08月14日
タイ中央銀行(BOT)は8月13日、金融政策委員会(MPC)を開催し、全会一致で政策金利を1.75%から1.50%へ0.25ポイント引き下げることを決定した。利下げは2会合ぶり。
BOTの発表によると、2025年と2026年のタイ経済は、前回(2025年6月)の見通しとほぼ同水準で成長すると予測されている。2025年上半期の経済成長は、電子機器の輸出、米国向けの駆け込み出荷、製造業の生産によって支えられたものの、年後半にかけて、米国の貿易政策による直接・間接的な影響や、近隣国からの観光客数の減少により、経済は減速すると見込まれている。また、これらの動向を受け、所得の伸び悩みなどにより、個人消費も抑制されると見通している。
総合インフレ率は、好天による供給増加で生鮮食品価格が下落したほか、国際的な原油価格の下落に伴い、エネルギー価格も低下傾向にあることから、引き続き抑制された状態が続くと予測されている。ただし、コアインフレ率は、前回の見通しに近い水準で安定しており、生活費や企業の経費へのさらなる上昇圧力をある程度抑えているとした。
こうした状況を踏まえ、MPCは、金融政策をある程度緩和的にすることで、企業の調整を促し、脆弱(ぜいじゃく)な層の負担軽減に資する金融環境を整える必要があると判断した。
(野田芳美)
(タイ)
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