7月の消費者物価は全体として低水準維持も、生活必需品は上昇傾向

(イタリア)

ミラノ発

2025年08月19日

イタリア国家統計局(ISTAT)は8月11日、7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率(インフレ率、確定値)が前年同月比1.7%(たばこを除く)で6月と同水準になり、7月31日の速報値を裏付ける結果となったと発表した(8月11日付プレスリリース:イタリア語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、全体としてインフレ率は安定化の傾向が見られるものの、品目によって差異があるとの見解を示した。特に、食品・日用品・パーソナルケア用品の価格上昇率は、6月(2.8%上昇)を上回り、7月は3.2%上昇となった。その影響で、購入頻度が高い製品は、6月の2.0%上昇から7月は2.3%上昇になるなど、生活必需品におけるインフレ率が加速していることがわかった。

品目別に前年同月比でみると、6月を上回ったのは生鮮食品やアルコール飲料を含む加工食品、その他のサービス、輸送サービスなど。具体的には、生鮮食品は6月:4.2%上昇、7月:5.1%上昇。アルコール飲料を含む加工食品も6月:2.7%上昇、7月:2.8%上昇となった。その他のサービスは6月:1.6%上昇、7月:2.2%上昇、輸送サービスも6月:2.9%上昇、7月:3.3%上昇となった。一方、鈍化したのは政府によって価格が管理されているエネルギー製品で、6月:22.6%上昇、7月:17.1%上昇だった。また、政府によって価格が管理されていないエネルギー製品も6月:4.2%下落、7月:5.2%下落となり、娯楽・フィットネスは6月:3.2%上昇、7月:2.7%上昇とそれぞれ減速した。

なお、エネルギーと生鮮食品を除いた品目の7月のコアインフレ率は前年同月比2.0%で、6月と同水準だった。また、EUの統一的な基準でみた同月のイタリアの消費者物価指数(HICP)は前年同月比で1.7%上昇した。

個人消費の回復については、ISTAT速報値を受けて、全国消費者連合のマッシミリアーノ・ドナ会長は「インフレ率の落ち着きは錯覚にすぎない」とし、食品などの生活必需品の支出が膨らむことによる、一般家庭での家計圧迫への懸念を示した(7月31日付イタリア主要紙「コリエレ・デラ・セーラ」)。

また、イタリア商業連盟(コンフコンメルチョ)は8月6日、住宅費、光熱費、公共料金、医療費、交通費、保険費などの必需的支出が家計の総支出に対して占める割合が、2025年は42.2%となり1995年比で5.2ポイント増加していると発表した。同連盟は、支出の自由度を制限する障害を取り除くことが必要とし、固定費の抑制と購買力の確保などを訴えている。

(平川容子)

(イタリア)

ビジネス短信 2022635f2cb6560e