ペルーで3閣僚が交代、法相には前内相が就任

(ペルー)

リマ発

2025年08月27日

ペルーのディナ・ボルアルテ大統領は8月23日、法務省、女性社会的弱者省、開発社会包摂省の大臣(閣僚)3人を交代させ、大統領官邸において新閣僚の宣誓式を行った。

法相には、弁護士で前内相のフアン・ホセ・サンティバニェス氏が就任した。サンティバニェス氏は2025年3月、治安対策が不十分で国民の不満が高まっているとして議会で不信任決議にかけられ内相を辞任した(2025年3月25日記事参照)。その後、ボルアルテ大統領の下で政府間調整室長として各省庁や地方自治体との連絡調整役を務めるなど、大統領の信任を得ている。

議会は、効果的な治安対策を打ち出せず内相としてのリーダーシップが欠如していた同氏が法相に就任したことについて、道義的・能力的な問題がないか検証するため、エドゥアルド・アラナ首相を参考人として招致する動きを見せている。

2026年の大統領選挙への立候補に意欲的とされるリマ市長のラファエル・アリアガ氏は、サンティバニェス氏が内相時代にリマ市政に協力的だったとして、同氏の法相就任を支持すると発表した。

サンティバニェス氏は地元プレスに対し、「司法制度改革を加速的に進める必要があり、そのために法相に登用されたと認識している。リマのほか、アンコンやサンタロサなどの市長からも賛同の声が届いている」とコメントした。

女性社会的弱者相には、アナ・ペーニャ氏が就任した。ペーニャ氏は弁護士で、国立図書館長や公正競争・知的財産保護庁(INDECOPI)の消費者保護部門の責任者を務めた経験がある。

ペルーでは家庭内暴力が年々増加しており、実効的な施策が求められている。女性社会的弱者省が家庭内暴力を受けた際の窓口として全国8カ所に設置している緊急ケア支援所(SAU)では、2024年に8,115件の相談を受けた。被害者を年齢別にみると、12~17歳が最多で2,024件、次に30~59歳で1,817件、18~29歳が1,556件、6~11歳が1,388件、0~5歳が887件となっている。

これまで女性社会的弱者相を務めたファニ・モンテベジャノス氏は、開発社会包摂相に就任した。同氏はこれまでに開発社会包摂省副大臣のほか、同省が管轄する地域学校給食事業の責任者を務めた経験もある。本事業では、全国で食中毒が発生し社会問題となっている。立て直し策として、8月11日からリマ首都圏の公立学校62校を対象に「私の学校で朝ごはん」プログラムを開始した。低所得層の子供が安心して朝食をとることができる仕組みを構築できるか注目されている。

(石田達也)

(ペルー)

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