大阪・関西万博でコモロの経済産業投資・経済統合相が訪日、経済フォーラム開催

(日本、コモロ)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年08月18日

インド洋に浮かぶ島しょ国家コモロの政府は8月13日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のナショナルデーに合わせた同国経済ミッション団の訪日に伴い、大阪で経済フォーラムを開催した。同国のムストイファ・ハッサーニ・モハメッド経済産業投資・経済統合相が登壇したほか、同国との交流を始めた長野県小諸市の小泉俊博市長がスピーチを行った。

コモロ国家投資促進庁(ANPI)のナジャティ・ソイディキ長官はまず、コモロの概況と投資環境について説明した。同国はマダガスカルの北西、モザンビーク沖に位置する島しょ国家で、人口は約85万人。現地ではフランス語、アラビア語のほか、現地語のコモロ語が使われている。通貨はコモロ・フランで、為替レートはユーロにペッグしているという。近年では特に2023年からGDP成長率が3%を超え続けている。また、地理的特性から、アフリカのみならず、アラブ、インド洋、アジアなどの地域へのアクセスが良く、東南部アフリカ市場共同体(COMESA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)や南部アフリカ開発共同体(SADC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を活用して、さまざまな市場へのアプローチが可能だと指摘した。その上で、政府が注力しているのは観光・手工業・工芸、ブルーエコノミー(注)、ファイナンス・物流、農業、ニッチ産業(市場の隙間を狙った専門的で小規模な産業)の5分野で、観光については現在5万人程度の観光客受け入れ数を20万人にすること、エネルギー分野では地熱発電を活用したクリーンエネルギーの創出、サービス部門ではデジタル化を図っていると語った。加えて、投資受け入れのため税務や法制度の改革とインセンティブの提供を行っていると述べた。

ムストイファ経済産業投資・経済統合相は、政府はエネルギーや交通、デジタル分野といったインフラ整備のほか、天然資源の有効活用を目指し、特産品のバニラ、クローブ(丁子)、香水などに使用されるイランイランの増産を行っていると述べた。海外からの投資誘致を促進しており、今回の大阪への経済ミッション団の派遣は日本の民間企業との関係構築のためと強調した。

写真 スピーチするムストイファ経済産業投資・経済統合相(ジェトロ撮影)

スピーチするムストイファ経済産業投資・経済統合相(ジェトロ撮影)

小泉市長はコモロと小諸市の友好関係のきっかけに言及した。5月に阿部康次・駐マダガスカル兼コモロ大使が大阪・関西万博コモロ政府代表や同コモロ館長などとともに小諸市を訪問し、交流イベントを開催した。小諸とコモロが同じ響きということもあり、コモロと長い交流になることを願っていると述べた。

フォーラム終了後にはコモロ企業とのネットワーキング交流会が行われた。コモロ側の参加企業の多くはイランイランから抽出した精油を扱う企業で、日本側参加者にも同製品を求める企業が数多く参加しており、活発な情報交換が行われた。

写真 ネットワーキングの交流会(ジェトロ撮影)

ネットワーキングの交流会(ジェトロ撮影)

(注)一般的に「ブルーエコノミー」とは、海洋資源を持続可能に活用しながら、経済成長と環境保護の両立を目指す経済モデルを指す。

(齋藤寛)

(日本、コモロ)

ビジネス短信 0b91e3879c96b6b8