万博ナショナルデーとTICAD9でトーゴミッション団が訪日、大阪で経済セミナー開催
(日本、トーゴ)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年08月21日
トーゴ産業・投資促進省とトーゴ商工会議所は8月19日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)ナショナルデーと、横浜市での第9回アフリカ開発会議(TICAD9)に合わせた同国のビジネスミッションの訪日に伴い、大阪商工会議所と共催で経済セミナーを開催した。
トーゴはアフリカ西部に位置し、南北に細長い国土を有する。産業・投資促進省の広報担当者ハダッド・ビアジャ氏はまず、経済と投資環境の概要について説明した。同国の人口は825万人、言語はフランス語、通貨はCFAフランだ。主要輸出品目はリン酸塩、石油などで、近年は6%を超える実質GDP成長を続けている。強みは世界有数の物流ハブとなっている点だ。ロメ港は2021年に約200万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)を処理した実績を有するギニア湾最大のコンテナ取扱港で、米国に約13日間、アジアに約25日間、欧州には約7日間で輸送できるほか、ロメ空港はアフリカと欧州の22都市と直行便を有し、陸上輸送では、ブルキナファソ、ニジェール、マリといった内陸国にも24時間以内に到達できる。また、法人設立手続きの簡素化を図っているほか、関税や法人税の減免があるフリーゾーンの設置を行っている。近年は情報通信技術(ICT)分野でデータセンター設置と発電所増設に取り組んでいるほか、農業分野の付加価値向上にも力を入れていると同氏は語った。
トーゴ商工会議所のホセ・クワシ・シメヌー会頭は、同国では現在、経済構造改革やインフラ設備の近代化、人材育成に取り組んでいるとし、今回の大阪・関西万博への参加目的は民間セクターの競争力向上に向けた2国間・多国間の関係強化のためと述べた。特に気候変動や不確実性が高まる中で、経済の安定化・強靭(きょうじん)化は重要だとし、日本には農業、道路インフラ整備、職能開発などの分野で支援を受けているが、今後は技術移転、産業連携、イノベーション創出面にも広げてほしいと語った。
スピーチするシメヌー会頭(ジェトロ撮影)
パネルディスカッションでは、フランス系の電力会社や現地の法律事務所の代表者がトーゴの事業環境について説明した。また、ジェトロ大阪本部海外ビジネス推進課の野澤拓郎主幹が2024年度海外進出日系企業実態調査(アフリカ編)結果に触れ、在アフリカ日系企業の6割は好調(黒字)な一方、直面している課題は「不透明な法制度」「不安定な為替」「治安面の不安」と指摘した。質疑応答では、トーゴでの再生可能エネルギー導入割合や外国人による不動産取得可否に関するやり取りがあった。
登壇者によるフォトセッション(ジェトロ撮影)
このほか、大阪商工会議所とトーゴ商工会議所の覚書(MOU)締結式も行われた。
大阪商工会議所とトーゴ商工会議所の覚書(MOU)締結式(ジェトロ撮影)
(齋藤寛)
(日本、トーゴ)
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