IMF、サウジアラビアの2025年4条協議レポート発表、観光産業成長に着目
(サウジアラビア)
リヤド発
2025年08月26日
IMFは8月21日、サウジアラビアの「2025年4条協議レポート」(注)を発表した。サウジアラビアの観光部門が著しい成長をしている点について言及し、同部門が同国の経済において主要な牽引役として重要な役割を果たしたと報告している。
同レポートによると、同国の経済は外的ショックに対して高い耐性を示し、非石油部門拡大と経済構造改革の進展に伴って堅調に推移している。短期的には十分な外貨準備・財政バッファーによって安定的ではあるが、中期的には双子の赤字(経常収支と財政収支)が課題となり、持続的な多角化戦略と財政健全化が不可欠だと指摘している。
IMFによるサウンドトラックの2025年以降の経済見通しは次のとおり。
- 実質GDP成長率:2025年3.6%、2026年3.9%
- 非石油部門成長率:2025年3.4%、2026年3.5%
- インフレ率:2.0%台で安定
- 経常収支赤字:中期的にGDP比マイナス3.0%前後
- 公的債務:2025年GDP比29.8%、2026年GDP比32.6%
8月21日付サウジアラビア国営通信社(SPA)は、同レポートの観光部門に関し、国際観光は著しい成長を遂げており、これが国内からの資金流出の一部を相殺し、2024年の経常収支の軽微な赤字縮小に貢献したとしている。2024年にサウジアラビアを訪問した観光客数は約3,000万人に達し、2023年比で8%増となった。また、国際観光客支出は2024年に1,690億リヤル(約6兆6,248億円、1リヤル=約39.2円)に達し、2023年比で19%増だった。
(注)IMF協定第4条の規定に基づき、IMFが加盟国を訪問して当該国の経済や金融部門の政策について、調査・評価を実施。各国政府や中央銀行などと経済の見通しや諸政策、構造改革について協議し、必要な政策調整に関する助言を行う。協議完了後にプレスリリースと4条協議報告書が対外公開される。
(林憲忠)
(サウジアラビア)
ビジネス短信 09d8a7419a9cfc2d