ジェトロ、上海市高級人民法院と「営業秘密漏えい対策セミナー」開催

(中国)

上海発

2025年08月06日

ジェトロは7月29日、中国進出日系企業向けに「営業秘密漏えい対策セミナー」を開催した。上海市高級人民法院知識産権審判廷の唐震裁判長と、上海市華誠法律事務所の賀暁博弁護士が講師として登壇し、唐裁判長は営業秘密権の基本的な特性、営業秘密に係る漏えいの主な種類・保護手段について、多くの事例を交えながら講演した。

唐裁判長によると、従業員が転職時に営業秘密を不正に持ち出したり、外部で使用したりするといった営業秘密侵害の訴訟案件が最も多いという。また、「不正競争防止法」によって保護される営業秘密は非公知性、有用性、秘密管理性の3つの性質を満たす必要があり、営業秘密保護では、企業自ら秘密保持措置を講じる必要がある。具体的な手段としては次を挙げた。

  1. 生産現場への進入を限定する階・エリアの明確化、社外秘のキャビネットの施錠など、ハードウエア配置の工夫
  2. 営業秘密の確定とリスト作成、機密文書の生成から廃棄までのプロセス管理、電子文書の暗号化処理といったソフトウエア面での管理
  3. 企業・従業員間の関連契約の締結、社内教育研修制度、退職面談制度などを設けるなど、従業員の適切な管理
  4. 不測の事態発生時に緊急対応計画を練るなど、関連制度・規則の策定

このような対策を講じることによって、後々、裁判でも重要な証拠となるという。

このほか、中国の知的財産権保護において、営業秘密漏えいが発生した場合、企業は市場監督管理局に申し立てし、行政保護を申請することができる。7月に上海市市場監督管理局法執行総隊が複数の関連部門と共同で、2025年版「営業秘密保護指導マニュアル」(添付資料参照)を発表し、国内外の企業に対し、保護体制の強化に向けた行動指針を示した。

唐裁判長は、行政法執行時には民事訴訟手続きとの連携も可能だと述べた。法定期間内に行政訴訟が提起されなかった行政行為によって認定された基本事実に対し、覆すに十分な反対証拠がない限り、知的財産権に係る民事訴訟で再度証明する必要はなく、民事訴訟の手続きの省略ができると説明した。

賀弁護士は、営業秘密の「秘密点」を特定する際のルールと方策、営業秘密案件における民事・刑事交錯の権利保護策略とその実務について講演した。

参加者からは、「営業秘密を守る方法、営業秘密侵害行為(不正取得など)に対する損害賠償請求(民事、刑事など)等について勉強になった」「自社の管理システムと照らし合わせた際に、意識すべきポイントが多く見つかった」などのコメントが寄せられた。

写真 (左)講演の様子、(右)ハイブリッド形式で開催したセミナー(ともにジェトロ撮影)

(左)講演の様子、(右)ハイブリッド形式で開催したセミナー(ともにジェトロ撮影)

(許蓓莉)

(中国)

ビジネス短信 0666588a0d939d90