カザフスタンと中国の鉄道部門が国際輸送強化で協力に合意
(カザフスタン、中国)
調査部欧州課
2025年07月16日
国営企業のカザフスタン鉄道(KTZ)は7月9日、中国国家鉄路集団(CR)と包括的戦略協力協定を結んだ。協定は、中国との運輸・物流関係の強化を目指す、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領の外交方針の実現に向けたもの。KTZのタルガト・アルディベルゲノフ社長とCRの郭竹学董事長が北京で署名した。
本協定は2014年に締結された以前の協定に代わるもので、輸送協力分野における両国の優先課題として次の内容が盛り込まれた。
- カザフスタン、中国およびその他の国の領土を通る国際輸送ルートの開発
- カスピ海横断国際輸送ルート(TITR)の開発および中国・欧州間往復輸送ルートへのさらなる貨物の誘致
- 輸送能力向上のためのインフラ整備プロジェクトの実施
- コンテナ輸送における協力の発展
- 輸送ルートおよびスケジュール、運営の調整を最適化することによる輸送効率の向上
- 柔軟かつ競争力のある運賃体系確立の促進
- 国境を越えた輸送を簡素化するための規制枠組みの統一
- 安全性と自動化を向上させるためのデジタル技術および規格の導入など
中国との輸送・物流関係の強化は、中国・欧州間ルートの物流発展に新たな弾みをつけ、TITRの魅力を高め、ユーラシア圏の最も重要な輸送拠点としてのカザフスタンの戦略的役割を強化することになる。
2024年のTITRを通じた貨物輸送量は前年比62%増加し、450万トンに上った。2025年は520万トンに増加すると見込まれている。カザフスタンはすでに中国と欧州間の陸路輸送において重要な役割を果たしており、貨物の約80%がカザフスタン領土を通過している。トカエフ大統領は、カザフスタンをユーラシア大陸の交通ハブとすることの戦略的重要性を繰り返し強調している。この目標達成のため、今後数年間で1,300キロメートル以上の新たな鉄道の敷設、3カ所目となる中国との国境に隣接する鉄道国境検問所の開設、国境沿いの新たなドライポート(バフティおよびカルジャト)の建設が計画されている(「Cronos.asia」7月10日)。
(鶴見敦子)
(カザフスタン、中国)
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