カザフスタン、アフガニスタン横断鉄道建設に参画

(カザフスタン、アフガニスタン)

調査部欧州課

2025年07月16日

カザフスタン政府は7月11日、アフガニスタンのタリバン暫定政権と、中央アジアと南アジア間の鉄道建設および運営の基本原則に関する覚書を締結した。内陸に位置するカザフスタンとしては、中央アジアからアフガニスタンとパキスタンを通り、インド洋に抜ける輸送ルートを確保するのが狙いだ。

カザフスタン運輸省は、覚書締結の趣旨として、トルクメニスタン国境に近いトルグンディからヘラート、カンダハールを経由してパキスタン国境に接するスピン・ボルダクまでのアフガニスタンにおける鉄道と物流センターの建設を挙げた。第1段階として、トルグンディからヘラートまでの鉄道115キロと、ヘラートでの物流センターの建設が計画されている。

覚書は、カザフスタンのムラト・ヌルトレウ副首相兼外相のアフガニスタン訪問期間中に署名された。ヌルトレウ副首相は、同鉄道を経由してパキスタンの港に貨物を輸送できる意義を強調し、覚書締結を歓迎した。

2024年4月にカザフスタンのセリク・ジュマンガリン副首相兼国民経済相がアフガニスタンを訪問した際に、トルグンディ~スピン・ボルダク間の鉄道建設参加に関する意向表明書がタリバン暫定政権との間で締結された。同文書には鉄道建設のほか、カザフスタン、アフガニスタン、トルクメニスタンの鉄道会社による合弁会社の設立や、鉄道沿線への光ファイバーケーブル敷設も検討課題として盛り込まれた(2024年5月14日記事参照)。

カザフスタンのオルジャス・ベクテノフ首相は、経済協力機構首脳会議出席のため訪れたアゼルバイジャンでタリバン暫定政権のアブドゥル・ガニ・バラダル副首相と7月4日に会談し、トルグンディ~ヘラート間の鉄道建設に投資の用意があることを表明していた。

(浅元薫哉)

(カザフスタン、アフガニスタン)

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