メキシコ中銀、政策金利を8%に引き下げ
(メキシコ)
メキシコ発
2025年07月08日
メキシコ中央銀行は、6月26日の金融政策決定会合で、銀行間翌日物金利の誘導水準(政策金利)を50ベーシス・ポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ、8%とすることを決定した。2025年2月、3月、5月に続く50bpの利下げとなった。
一方で、中銀のプレスリリースでは、2025年第2四半期のインフレ率予測は3.9%から4.3%、コアインフレ率(注)は3.9%から4.1%に上方修正された。国立統計地理情報院(INEGI)の最新発表をみても、6月前半時点の年間インフレ率は4.51%と、4月末時点の3.93%から上昇。コアインフレ率についても同期間で3.93%から4.20%に上昇している。しかし、第4四半期には、インフレ率、コアインフレ率はそれぞれ3.6%、3.7%と、政府目標である3%台に収束すると予測した。
また、中銀はインフレ見通しの上昇リスク要因として、為替の下落、地政学的紛争や貿易政策による混乱、コアインフレ率の(上昇傾向が)持続などを挙げた。他方、低下要因としては、予想を下回る経済活動、コスト上昇の価格転嫁の遅れ、直近の通貨高による価格上昇圧力の減少などを挙げた。
次回の政策金利の引き下げには慎重論も
今回の政策決定会合では、全会一致ではなく、ジョナサン・ヒース副総裁が政策金利を8.5%に維持することに賛成していた。また専門家からは、今後の利下げでは50bpから25bpに利下げ幅が縮小する可能性を指摘する声もある。証券会社ベクターのチーフエコノミストオフィサーのロドルフォ・ナバルテ・バルガス氏は「中銀はインフレの動向に応じて、25bpの引き下げか、金利引き下げの停止を行う可能性がある」と指摘した(「レフォルマ」紙6月30日)。また、マネックスのアナリストは「現時点では、コアインフレ率は中銀の予想どおりに推移していない。経済活動の弱さにもかかわらず、財とサービスの価格は上昇している」とし、今後の利下げ幅について、「7月の会合では25bp引き下げて、(政策金利は)7.75%になるだろう」と予測した(「エル・フィナンシエロ」紙6月26日)。
(注)天候などにより価格変動が大きい農産品やエネルギー価格、政府が決定する公共料金などの価格を除いた指数。
(阿部眞弘、加藤美帆)
(メキシコ)
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